すすかび病

すすかび病について

すすかび病（すすかびびょう）は、真菌、一般的にはカビによって引き起こされる植物病害の一つで、植物の葉裏に特有のすす状の菌叢が形成されることが特徴です。この病気は身近な植物、例えばツバキやアジサイに加え、野菜類、特にトマトやナスにおいても発生します。すすかび病は近年、三十種以上の植物に見られることが確認されています。具体的な症状としては、最初に葉の裏に淡黄緑色の病斑や小さな斑点が現れ、その後病斑が広がることで葉全体が黄化し、最終的には葉がしおれて垂れ下がることが見受けられます。

すすかび病の種類

すすかび病は複数の種類に分かれており、代表的なものとしてトマトすすかび病とナスすすかび病が挙げられます。

トマトすすかび病（Cercospora leaf mold）

トマトすすかび病は、真菌Pseudocercospora fuligenaによって引き起こされます。この病害は特にトマトの葉に見られ、多湿の環境での発生が顕著です。初期段階では、葉の裏面に淡黄緑色の不明瞭な病斑が現れ、その後灰褐色の粉状のカビが見られるようになります。病状が進行すると、病斑は円形または不整形になり、色は灰褐色から黒褐色へと変化します。また、葉の表面にも淡黄褐色の病斑が現れますが、裏面に比べてその発生は遅れがちです。トマトすすかび病は葉かび病（Passalora fulvaによる病害）と似ていますが、葉裏の病斑に見るカビの種類が異なるため、視覚的な識別が難しいとされています。特に、密植や換気が不十分な栽培環境で発生しやすく、病原菌の最適な生育温度は約27℃です。

ナスすすかび病（Leaf mold）

ナスすすかび病は、Mycovellosiella nattrassiiという真菌によって引き起こされる病害で、特に発生時期は2月から5月にかけてです。この病気もトマトのそれと同様に湿度の高い環境を好むため、栽培環境が重要となります。初期段階では、葉の裏面に白色のカビが斑点状に現れ、進展するにつれて淡褐色や灰褐色のすす状の物質で覆われていきます。さらに病気が進行すると、黒褐色のビロード状の隆起した病斑が出現します。ナスすすかび病の特徴は、葉の表裏で現れる病斑が異なる点です。葉の表面では黄色や褐色の斑点が目立ち、進行すると表面も退色することが確認されます。多くの病斑が形成されると、葉全体が黄化し、葉柄の根元から葉が脱落してしまうこともあります。しかし、果実や茎には影響を及ぼさないため、早期の落葉による草勢の弱体化が懸念され、収量や品質の低下を引き起こす要因となります。ナスすすかび病も、初期の斑点の色合いにおいては、すす斑病（Pseudocercospora fuligena由来）と似ていますが、黄色い小さな斑点が初期に現れることで区別されることが多いです。

本症状に関連する情報は、日本植物病害大辞典を参考に下さい。これらの病害を正しく認識し、適切な対策を講じることは、農作物を守る上で重要です。

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