すっ飛び野郎

『すっ飛び野郎』について

『すっ飛び野郎』は、1965年4月5日にビクターからリリースされた橋幸夫の64枚目のシングルです。この楽曲は、同名の松竹映画の主題歌としても知られています。橋幸夫は1960年の『潮来笠』でデビューし、以来、毎年10枚以上ものシングルを発表し続け、その多くがヒットを記録しました。この時期、彼の楽曲は主に作詞家・佐伯孝夫と作曲家・吉田正の手によるものでした。

背景と変革

デビューから4年が経過した頃、橋は自身の音楽スタイルに変化を求めました。その第一歩として、1964年10月に吉川静夫が作詞、平川浪竜が作曲した『大利根仁義』を発表し、これもヒットしました。この成功を受け、1965年3月には『八州喧嘩笠』を発表し、そして数週間後の4月5日には『すっ飛び野郎』をリリースしました。

この新曲は、これまでの伝統的な股旅物とは異なり、軽快なリズムを感じさせる楽曲に仕上がっています。音楽評論家・小野善太郎はこの曲を「リズム股旅物という感じでおもしろい」と評し、橋自身もその評価に同意しています。さらに『すっ飛び野郎』も、ビクターヒット賞を受賞し、吉川と平川が手掛けた楽曲は全てヒット賞を獲得する結果となりました。

アルバムと収録曲

このシングルの編曲を手掛けたのは寺岡真三で、彼は過去にも橋幸夫の作品に関わった経験があります。シングルのB面には「飴やまかり通る」が収録されており、こちらも吉川静夫が作詞を担当し、作曲は山下毅雄によるものです。この「飴やまかり通る」も主題歌として、映画で使用されています。

収録曲一覧

• - すっ飛び野郎

- 作詞：吉川静夫
- 作曲：平川浪竜
- 編曲：寺岡真三

• - 飴やまかり通る

- 作詞：吉川静夫
- 作曲：山下毅雄

これらの楽曲は、後のアルバム『橋幸夫ステレオハイライト第5集』や、1992年に発表された『橋幸夫／豪華版全曲集』などに収録されています。また、CD-BOX『橋幸夫大全集』や『橋幸夫のすべて』にも含まれています。

映画『すっとび野郎』

このシングルの主題歌として知られる映画「すっとび野郎」は、1965年4月28日に公開されました。主演は橋幸夫で、共演には倍賞千恵子や丹波哲郎が名を連ねています。この映画は、橋が演じる公儀隠密・旅鴉伊之吉と、丹波演じる隠密の浪人・平井隼人が、密貿易を暴く物語を描いています。さらに、倍賞千恵子は隼人の妹役、草鞋を脱ぐ大川一家の親分の娘役には香山美子がキャスティングされています。

この作品は松竹京都映画撮影所の最後の作品でもあり、橋幸夫にとっても特別な意味を持つ作品となりました。『すっ飛び野郎』は、彼の音楽、映画両方のキャリアにおいて重要なマイルストーンとなっています。

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