すべて君たちのせいさ

アルバム『すべて君たちのせいさ All Because Of You Guys』

『すべて君たちのせいさ All Because Of You Guys』は、日本のバンドチューリップが1976年6月5日にリリースしたビートルズのカバーアルバムです。このアルバムは、ジャケットにある「ALL BECAUSE OF YOU GUYS すべて君たちのせいさ! '76初夏号」のタイトルからも分かるように、ビートルズへの敬意を表しつつ、チューリップ自身の色を加えた一枚となっています。

チューリップは、デビュー当初からビートルズの音楽に影響を受けた曲作りを行い、「日本のビートルズ」と称されることも多かったバンドです。アルバム制作に関してリーダーの財津和夫は、「頭の中にあるビートルズの音楽を整理し、思い切ってコピーして自立するため」とその意図を語っています。アルバムには、オリジナル楽曲がA面の1曲目とB面の8曲目に含まれており、残りはビートルズの楽曲を忠実にカバーした内容です。

アルバムの楽曲は、特にポール・マッカートニーがボーカルを取る曲が多く、選曲にあたっては「コピーしやすく文句を言われにくい曲」を意識したと話しています。ジャケットデザインはアートディレクターの大野丈也とデザイナーのORBISによるもので、ピンクを背景にした漫画雑誌のようなスタイルを取り入れています。デザインにはメンバーの似顔絵とともにビートルズの4人の似顔絵も描かれており、その描写の許可を漫画家から得るなど、細部にこだわりがあります。

収録されている曲は数多くあり、特に注目されるのは「I NEED YOU」を含む数曲で、これらはジョージ・ハリスンにちなんだ作品で、シタールによる演奏が施されているのも特徴的です。また、アルバムオリジナルの楽曲「ALL BECAUSE OF YOU GUYS 〜PROLOGUE」と「ALL BECAUSE OF YOU GUYS 〜EPILOGUE」でも、配置されるクレジットを「CARLOS ALPACA」としていることから、この名前は当時シンコーミュージックに所属していたピーター・バラカンを指しています。彼はこのアルバム制作において、英語の発音指導や曲の制作にも関わりました。

チューリップはこのアルバムを契機に、ビートルズからの影響を受けつつも、自らの独自の音楽性を追求する道へと進んで行くことになります。この作品は、ビートルズの楽曲を通じてチューリップの音楽のルーツを感じることができると同時に、彼ら自身の成長を窺わせる一枚となっています。

収録曲

• - SIDE A

1. ALL BECAUSE OF YOU GUYS 〜PROLOGUE
2. WE CAN WORK IT OUT
3. YOUR MOTHER SHOULD KNOW
4. I NEED YOU
5. ANOTHER GIRL
6. HERE THERE AND EVERYWHERE
7. THE NIGHT BEFORE

• - SIDE B

1. BLACKBIRD
2. WAIT
3. FOR NO ONE
4. LADY MADONNA
5. MARTHA MY DEAR
6. TWO OF US
7. HEY JUDE
8. ALL BECAUSE OF YOU GUYS 〜EPILOGUE

このアルバムは、ビートルズの影響を受けた日本の音楽シーンにおいても重要な位置を占めており、その魅力は今もなお多くのファンに支持されています。

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