そごう川口店

そごう川口店の歴史と閉店

そごう川口店は、埼玉県川口市の川口駅前に位置する百貨店で、1983年に設立されました。設立当初は「株式会社川口そごう」として地域に根ざした営業を行い、1991年には川口駅前に新たに開業された「川口駅東口第3工区再開発ビル」の核テナントとしてスタートしました。結果的に、そごうグループ全体ではこの店舗が30番目の開設となりました。この百貨店のオープンに際しては、「世界へ。そごう新世紀、始まる」というキャッチフレーズが掲げられ、多くの期待が寄せられました。

開業からしばらくは順調に売上を伸ばし、1997年には359億円の最高売上を記録しました。しかし、その後は経済環境の変化や消費者の購買形態の変化により、徐々に厳しい状況に追い込まれていきました。運営会社は、開業時の「株式会社川口そごう」から、2002年には民事再生法申請による統合を経て新たに設立された「株式会社そごう」に引き継がれ、さらに2009年に株式会社そごう・西武として統合されることとなりました。

2019年10月、親会社のセブン&アイ・ホールディングスによる事業構造の見直しに伴い、そごう川口店も閉店の運命に直面します。2021年2月28日をもって営業を終了することが発表され、その後、店前には「さよならの前に、できること。」というメッセージ広告が掲げられました。この広告はグラフィックデザイン部門で受賞を果たすなど、閉店を惜しむ声が多く上がりました。

川口店は閉店前年の2020年でも153億円の年商を維持しており、周辺郊外の百貨店としては比較的良好な業績を誇っていましたが、店舗の運営や経営戦略には厳しい時代が待ち受けていました。

施設の特徴

そごう川口店の3階メインエントランスは、隣接するJR川口駅と空中通路で連絡し、利用者にとって便利なアクセスが提供されていました。また、開業当初からセイコー製の大時計が設置されており、特に2008年4月までは東京ディズニーランドのアトラクションにちなんだ演出が行われ、訪れる人々に親しまれていました。

近隣には、セブン&アイ・ホールディングスグループに属する「アリオ川口」があり、川口市での商業圏を形成していました。かつてはイトーヨーカドーのディスカウントストアも営業していたものの、再開発によって閉店を余儀なくされました。

閉店後の展望

2023年9月には、三井不動産がそごう川口店を取得し、新たな商業施設として改修する計画が明らかになりました。さらに、川口市と三井不動産は「川口駅周辺まちづくりに関する連携協定」を結び、地域の発展に向けた取り組みが進められることとなりました。これは埼玉県が進めるスーパーシティプロジェクトの一環として位置付けられています。

かつて街の中心としての役割を果たしてきたそごう川口店の跡地が、どのような形で地域活性化に寄与するのか、今後の動向に注目が集まっています。

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