その気にさせないで (キャンディーズの曲)

その気にさせないで

「その気にさせないで」は、日本の人気アイドルグループ、キャンディーズが1975年9月1日にリリースした通算7枚目にあたるシングル楽曲です。この曲は、当時の音楽シーンで大きな潮流となっていたソウルミュージックのサウンドを大胆に取り入れた意欲作として知られています。

楽曲の背景と特徴

本作は、洗練されたソウルフルなアレンジが特徴で、キャンディーズの新たな音楽的可能性を示す一曲となりました。歌詞部分は主にソロまたはユニゾンで歌われますが、サビに差し掛かる部分では、メンバー3人による美しい3声のハーモニーを用いたスキャットが効果的に配されています。

特筆すべきは、サビにおける伊藤蘭さんのエモーショナルな歌唱です。「なぜかあなたには隙を突かれそう。」というフレーズを、それまでのアイドル楽曲にはあまり見られなかったような、感情を前面に出した絶叫に近いトーンで歌い上げるスタイルは、非常に印象的です。この独自のボーカルアプローチは、後の日本の女性アーティスト、例えばSPEEDや安室奈美恵さんといった、ソウルやR&Bのテイストを取り入れた楽曲におけるボーカル表現にも影響を与えたと言われています。

商業的成果と収録アルバム

シングルはCBS・ソニーの調べによると、キャンディーズの解散コンサートが行われた時点で累計19万枚を売り上げており、当時の人気を裏付ける結果となりました。

A面の「その気にさせないで」とB面の「一枚のガラス」は、どちらもシングル発売の翌月、10月にリリースされた同タイトルのオリジナルアルバム『その気にさせないで』に収録されています。アルバムバージョンとシングルバージョンに大きな違いはありません。

収録曲

両楽曲共に、作詞は千家和也氏、作曲は穂口雄右氏が担当しています。

その気にさせないで
作詞：千家和也
作曲：穂口雄右
編曲：穂口雄右
収録時間：3分30秒

一枚のガラス
作詞：千家和也
作曲：穂口雄右
編曲：あかのたちお
収録時間：3分32秒

参加ミュージシャン

「その気にさせないで」のレコーディングには、日本の音楽シーンを支えた著名なスタジオミュージシャンが参加しています。

ギター：水谷公生
ベース：武部秀明
ドラムス：田中清司
パーカッション：ラリー寿永

彼らの高い演奏技術が、楽曲のソウルフルなグルーヴ感を形作っています。

カバー

この楽曲は、他のアーティストによってカバーもされています。

クリスタル・スリー
1979年発売のLPアルバム『キャンディーズ・ディスコ・ヒート』にてカバーされました。このバージョンでは歌詞が英語に翻訳（訳詞：MITSU NANAMI）されており、ディスコアレンジが施されています。

「その気にさせないで」は、キャンディーズがアイドルという枠に留まらず、多様な音楽ジャンルに挑戦していた時期の代表的な一曲と言えるでしょう。

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