そばへ

丸井グループ オリジナルアニメーション 『そばへ』

『そばへ』は、丸井グループが2019年3月7日に公開した短編Webアニメーションです。同年7月19日からは、映画『天気の子』の上映前にシネマ広告として劇場公開もされました。

タイトルには、「日照雨（そばえ）」、傘が持ち主の『そばへ』返ってくる様子、戯れを意味する「戯う（そばう）」など、雨にまつわる様々な意味が込められています。雨の中で遊ぶ情景が、映像全体を通して表現されています。

登場人物

統（おさむ）
高校3年生の男子生徒。野球部を引退し、受験勉強に励んでいます。雨が苦手。
紗友（さゆ）
声 - 福原遥
高校3年生の女子生徒。雨が好きで、統に傘をプレゼントします。
妖精
統が落とした傘の妖精。
まっちゃ
緑色の猫。雨が苦手。

制作の裏側

企画は2018年7月頃、丸井グループが新作アニメーション制作のためコンペを開催したことがきっかけでした。東宝もその一社として声がかかり、プロデューサーの武井克弘が、アニメーション制作会社オレンジのプロデューサーである和氣澄賢に声をかけ、監督には石井俊匡が選ばれました。

丸井側からは「インクルージョン（包括）」というテーマが提示され、「誰も置き去りにしないこと」という説明を受け、武井・和氣・石井の3人で企画を出し合った結果、「雨」というテーマが生まれました。その後、企画書がまとめられ、8月頃に制作が決定しました。

映像表現に制約が生まれることを避けるため、コンセプトアートを先に制作し、作品の方向性を定めています。長砂賀洋がコンセプトアートを担当しました。

制作におけるこだわり

和氣は「雨」というテーマについて、子供の頃に置き去りにしてしまった雨を楽しむ気持ちを思い出すことが「インクルージョン」につながると語っています。また、石井はビニール傘越しに外を見た時に世界が違って見えた経験からインスピレーションを得たと語っています。

物語はポイントとなる部分だけを分かりやすく描写し、その他は見る人に委ねることで、想像力を掻き立てる作りとなっています。特に、冒頭の雨の陰鬱さとラストカットの美しさの対比は、作品の大きな特徴です。

音楽に合わせて、中盤の夜明けのシーンをより神秘的に描くなどの変更も加えられています。

猫のまっちゃ以外のキャラクターには、モーションキャプチャーが使用されています。

音楽について

音楽は牛尾憲輔が担当。「インクルージョン」の持つ「内包する」というイメージから、雨の一粒一粒を楽器と捉え、メロディを内包させることで、雨粒が集まって全体を成す音楽を表現しています。また、声優を務める福原遥の声も楽器として取り入れられています。

YouTubeでの配信がメインとなるため、パソコンやスマートフォンでは低音が聞こえにくいことを考慮して作曲されています。一方で、映画館で視聴した際には低音がしっかりと聞こえるような設計になっています。

まとめ

『そばへ』は、雨という身近なテーマを通して、人と人との繋がりや、忘れかけていた感情を思い出させてくれる、心温まる作品です。美しい映像と音楽、そして繊細な演出が、見る人の心に深く響きます。



外部リンク

丸井グループ　オリジナルアニメーション　『そばへ』

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