それいけ!アンパンマン ハピーの大冒険

それいけ！アンパンマン ハピーの大冒険

2005年7月16日公開の『それいけ！アンパンマン』シリーズ第17作。全日本私立幼稚園連合会、社会福祉法人日本保育協会推薦作品で、キャッチコピーは『さあ!アンパンマンと本当の勇気をさがしにいこう!』。

あらすじ

アンパンマンに憧れる少年ハピーは、ドデカツリーに住むやんちゃな子供。ある日、アンパンマンの勇姿に感銘を受け、ドデカツリーを飛び出し、長旅の末に憧れのアンパンマンと出会います。弟子入りを志願するハピーですが、人助けに励むアンパンマンの地道な活動に落胆。そんな時、ばいきんまんと謎のイモムシ・グリンガが現れ、ハピーはグリンガを操るばいきんまんに悪の道へと誘われます。グリンガはドデカツリーを食い荒らし、絶滅の危機に瀕します。アンパンマンはドデカツリーを守るため奮闘しますが、ハピーはそこでアンパンマンの真の姿、本当の強さを見出すのです。

ハピーとアンパンマン

アンパンマンは、自身の身を挺して人々を助け、飢えや苦しみから救い出す、揺るぎない正義感を持つヒーローです。本作では、TVアニメ以上にその“逆転しない正義”が強調されています。ハピーと共に行動する時も、迷子の子猫の親を探したり、自身の顔を分け与えたりと、地道な人助けを続けます。彼は、力ではなく「愛」と「優しさ」こそが真の強さだと示唆しているのです。一方、ばいきんまんの窮地を救ったり、人々の避難を優先させるなど、敵であるばいきんまんに対しても、人道的な行動を取ります。

ばいきんまん

本作におけるばいきんまんは、「悪」の立場を貫き、グリンガに裏切られながらも彼を応援し続けます。その結果、グリンガの敗北に伴い、他の仲間が元の姿に戻る中、彼だけが蛾の姿に変貌してしまいます。この姿は、続く作品にも影響を与えます。ばいきんまんは自身の強さを「悪」であると定義し、その信念を最後まで貫き通します。

その他のキャラクター

他のアンパンマンの仲間たちも、それぞれ個性的に描かれています。しょくぱんまんは「美しさ」、カレーパンマンは「辛さ」を強さと定義します。一方、メロンパンナは「よくわからない」と答えるなど、キャラクターそれぞれの考え方が描かれています。

ゲストキャラクターのハピーは、アンパンマンの弟子として、またグリンガとの戦いを経て、本当の強さを学び成長します。ドデカツリーに住む仲間たちとの交流も、物語に深みを与えています。

それいけ！アンパンマン くろゆき姫とモテモテばいきんまん

同時上映作品。劇場版アンパンマンシリーズ唯一のラブコメ作品です。

あらすじ

ばいきんまんたちは湖畔の別荘で過ごしていました。ドキンちゃんの指示でフルーツを取りに行ったばいきんまんは、雷雲の中に「くろゆき城」を発見。そこには、黒いものが大好きな「くろゆき姫」が住んでいました。くろゆき姫はばいきんまんに恋をし、別荘を真っ黒に染めてしまいます。町も黒く染まっていく中、ドキンちゃんとくろゆき姫はばいきんまんを巡って大喧嘩を始めるのです。

くろゆき姫とばいきんまん

本作の主役はばいきんまん。くろゆき姫と恋仲になりますが、ラストでは彼女の誘いを「悪役だから」と断ります。これは、ばいきんまんの「悪」としての立場を明確に示しており、コミカルな展開とは裏腹に、彼自身の信念が感じられるラストシーンとなっています。くろゆき姫は、実は「こなゆき姫」が呪いで変えられた姿であり、黒水晶の杖が壊れたことで元の姿に戻ります。それでもばいきんまんへの好意は残っており、彼を白くした上で一緒にこなゆき城へ行くよう誘いますが、ばいきんまんはそれを断ります。

両作品共通点

両作品は、アンパンマンとその仲間たちの活躍を通して、「本当の強さ」や「正義」とは何かを問いかける、見応えのある作品です。子供から大人まで楽しめる、心温まる感動とユーモアに満ちた内容となっています。 それぞれのテーマが異なるため、併せて観ることで、より深くアンパンマンの世界観を味わうことができるでしょう。

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