それぞれのシネマ

『それぞれのシネマ』の概要

『それぞれのシネマ』（原題：Chacun son cinéma ou Ce petit coup au cœur quand la lumière s'éteint et que le film commence）は、2007年に制作されたオムニバス映画であり、フランスを中心に24カ国が協力して製作しました。この作品は、映画館をテーマにした36人の著名な映画監督による34本の短編 films から構成されています。この映画は、1946年に始まったカンヌ国際映画祭の60年を記念して作られたもので、各国の文化や視点が色濃く反映された作品が並びます。

映画の構成と上映

本作は、映画館という共通のテーマを持つ様々な短編作品が3分程度の尺で展開され、それぞれが異なる国の監督によって制作されました。各短編映画は、監督の独自の視点とスタイルが表現されており、鑑賞者に新たな映画体験を提供します。最初の短編はフランスのレイモン・ドゥパルドンが手掛けた「夏の映画館」（Cinéma d'été）で、各作品は様々な国からの監督によって次々と繋がっていきます。

たとえば、日本の北野武監督による「素晴らしき休日」（One Fine Day）や、アメリカのデイヴィッド・リンチ監督による「アブサーダ」（Absurda）などがラインナップにあり、国際的な映画の魅力を体感できます。さらには、アンドレイ・コンチャロフスキーの「暗闇の中で」（Dans le noir）や、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの「アナ」（Anna）など、個性的な作品が多く含まれています。

この映画は、2007年5月にカンヌ国際映画祭での上映を皮切りに、各地の映画祭でも紹介されました。フランスでは2007年10月31日に一般公開され、日本では11月17日の第8回東京フィルメックスでオープニング作品として上映されました。その後、2008年の5月中旬に洋画★シネフィル・イマジカで放映され、さらにユナイテッド・シネマ豊洲での上映も行われました。

上映のバリエーション

興味深い点として、34本すべての短編が常に上映されるわけではないということです。たとえば、カンヌ映画祭では当初34本が計画されていましたが、デイヴィッド・リンチの「アブサーダ」が間に合わなかったため、実際には33本での上映となりました。また、他の映画祭や放映でも、権利の問題などで特定の短編が除外されることがあり、そのために観客が体験できる内容は異なる場合があります。

特に、コーエン兄弟の「ワールドシネマ」やマイケル・チミノの「翻訳不要」は権利の問題で収録されず、結果として日本盤DVDには33本しか収録されないこととなりました。これは、同時期に観客が観賞できる映画の多様性に影響を与える要因となっています。

まとめ

『それぞれのシネマ』は、映画館という空間が持つ特別な魅力を、多国籍な視点から描いた作品と言えます。国や文化を超えた監督たちがそれぞれの「映画館」を通じて、観る者に感動や思索を促し、映画の力を再認識させる内容となっています。このような多彩な短編映画のコレクションとして、映画ファンにとって価値のある体験を提供する作品です。

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