それだけの旅

それだけの旅

それだけの旅（それだけのたび）は、日本の歌手、麻倉未稀が1983年に発表した通算7枚目のシングルレコードです。この作品は、1983年11月5日に、キングレコードの傘下レーベルであるCRYSTAL BIRDから、規格品番KO7S-489としてリリースされました。

収録曲

A面: それだけの旅

シングルの表題曲である「それだけの旅」は、菓子メーカーである江崎グリコのチョコレート製品「ディオーネ」のコマーシャルソングとして採用されました。このテレビCMには、女優の眞野あずさが出演しており、楽曲が製品イメージの構築に貢献しました。この楽曲の制作にあたっては、麻倉未稀の記念すべきデビューシングル「ミスティ・トワイライト」と同じ制作陣が再び起用されました。作詞は、情感豊かな言葉で多くの楽曲を手がけてきた竜真知子が担当しています。そして、作曲および編曲は、ジャズや映像音楽の分野でも広く知られる大野雄二が手がけ、洗練されたサウンドを作り上げました。この楽曲の収録時間は4分25秒です。

B面: メモリーズ オブ ユー

カップリング曲として収められた「メモリーズ オブ ユー」は、「それだけの旅」とは異なるクリエイター陣によって制作されました。この楽曲の最大の特徴は、作詞をアーティストである麻倉未稀自身が手がけている点にあります。彼女自身が紡いだ言葉に、高瀬政彦がメロディをつけ、渡辺博也が編曲を担当しました。シンガーとしての表現力に加え、作詞家としての感性も垣間見ることができる一曲です。演奏時間は4分02秒となっています。

シングル「それだけの旅」は、当時の著名なCMとのタイアップにより、麻倉未稀の楽曲がより多くのリスナー層に浸透する重要な機会となりました。1980年代中盤の日本のポップスシーンにおいて、洗練されたアレンジとキャッチーなメロディラインを持つこの楽曲は、多くの人々の記憶に残る作品となりました。表題曲における竜真知子と大野雄二の組み合わせは、麻倉未稀の初期のサウンドを特徴づける強力なタッグと言えます。デビューシングルからの継続的な協力関係は、アーティストの音楽性の方向性を定める上で重要な役割を果たしました。

一方、カップリングの「メモリーズ オブ ユー」で麻倉未稀自身が作詞に挑戦したことは、彼女が単なる歌い手にとどまらず、ソングライターとしての才能も持ち合わせていることを示すものです。B面曲ながらも、自身の言葉で表現しようとするアーティストの姿勢が感じられます。高瀬政彦によるメロディと渡辺博也によるアレンジは、A面曲とは異なる雰囲気を提供し、シングルの多様性を高めています。

1983年という年は、日本の音楽業界が多様化し、新しい音楽スタイルが次々と登場していた時期です。このシングルがリリースされた当時は、まだアナログレコード（シングル盤）が主要な音楽メディアであり、規格品番KO7S-489という形式で物理的に販売されました。CMソングとしてのキャッチーさと、B面でのアーティストのより個人的な表現という、異なる側面を持つこのシングルは、麻倉未稀のキャリアにおける重要な作品の一つとして位置づけられています。特にテレビCMを通じて広く親しまれた「それだけの旅」は、リリースから時を経た現在もなお、彼女の代表曲として多くのファンに愛され続けています。

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