そんなとき女を好きになる

アルバム『そんなとき女を好きになる』

チューリップの通算20枚目のアルバム『そんなとき女を好きになる』は、1988年4月1日にリリースされました。この作品は、前作の生音重視の路線から一変し、都会的で洗練された音楽的アプローチを採用しています。過去のアルバム『Jack is a boy』に似た厚みのある音作りを感じる一方、財津和夫がバンドとソロ活動の間でテーマの奥深さを表現しきれない場面も多く見受けられました。

アルバムのジャケットでは、驚いた表情のエキストラの中にメンバーが登場する写真が採用されており、冬の寒いスタジオで撮影されたもので、かつての華やかさとは異なる新しい一面を打ち出しています。また、このアルバムにはゲストミュージシャンとして上田雅利が1曲でパーカッションを担当しています。

1988年は、チューリップにとって厳しい年でありました。このアルバムを含むリリースは売上が振るわず、全国各地でのライブも主要都市8か所に限定されるなど、活動の縮小を余儀なくされました。結果として、財津和夫はチューリップ解散を決意することとなるのですが、這い上がりたいという気持ちを秘めた作品でもありました。

収録曲について

アルバムの収録曲は多様であり、各トラックには独自の魅力やテーマがあります。例えば、

• - 女たちの危険な事情 では、財津和夫が作詞作曲を手掛け、アコースティックギターとボーカルのシンプルな構成で、メンバーが交代で歌唱します。この楽曲は、ツアー中に朗読として披露された経験も持つ一曲です。

• - トライアングラー・ラヴ・エイド や 真っ赤な花と水平線 など、財津の創作による楽曲も見逃せません。シングルカットされた真っ赤な花と水平線は、同日に発売されたシングルとも密接に結びついています。

• - ペパーミントの予感 では、高橋裕幸が初めて作詞・作曲・ボーカルを手掛け、特にライブパフォーマンスにおけるターンの演出が印象的です。

• - 渋谷Flower・Friday では、バブル景気の華金をテーマにした楽曲として、当時の雰囲気を色濃く反映しています。財津が作成した Mr.チークダンス では、上田の参加が響きを与えており、全体に活気を与えています。

このアルバムは、ただの音楽作品ではなく、チューリップの歴史の一部としても重要な位置を占めます。彼らの音楽は、時代の影響を受けながらも独自のスタイルを貫き通しており、ファンにとって愛すべき作品となっています。チューリップの活動が縮小される中でのこのアルバムは、彼らの力強さを示すものでもあり、聴く者に深い印象を与えるのです。

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