たいこフーズ

株式会社たいこフーズと株式会社本陣の盛衰

株式会社たいこフーズは、兵庫県で持ち帰り弁当チェーン「たいこ弁当」を運営していた会社です。一般には「たいこ弁当」の店名で広く知られていました。1978年7月に設立され、本社は兵庫県加西市にありました。その後、2008年に親会社であった株式会社本陣に吸収合併されました。

株式会社本陣の設立と事業拡大

株式会社本陣は、1972年に寿司、仕出し弁当、おせち料理の製造販売業者として設立されました。翌1973年には、食堂「たいこ弁当」を開業しました。1978年には、株式会社たいこフーズが設立され、弁当・惣菜製造の本陣と、販売・食堂経営のたいこフーズという2社体制で事業を展開することになりました。両社は、播磨地域を中心に店舗網を拡大し、最盛期には40店舗を構えるまでに成長しました。
特に播磨地域では、「たいこ弁当」を知らない人はいないと言われるほど、地域住民に親しまれていました。また、うどんやラーメン、カレーライス、おでんなど、多角的なメニュー展開を行い、大衆食堂としても人気を集め、レジャー客も利用するほどの盛況ぶりでした。最盛期の1995年には、売上高は約61億6,900万円に達しました。

バブル経済崩壊後の経営悪化

しかし、バブル経済期には、有価証券や不動産投資、ゴルフ会員権購入など、本業とは関係のない事業にも手を広げ、海外現地法人の設立や、資金繰りの不透明なベンチャー企業への出資も行いました。これにより、本陣の有利子負債は約62億円に急増しました。2005年9月には、横山大観作の日本画『霊峰富士』を売却しましたが、約9億7,000万円の損失を出すなど、経営は悪化の一途を辿りました。

本業の売上も、1995年をピークに減少を続け、2002年には最終赤字に転落しました。2006年からは金融機関への返済猶予や仕入先への支払条件緩和を求めるなど、本格的な経営再建に乗り出しましたが、コンビニエンスストア等大手チェーンとの競合や、法事での仕出し需要減少などにより業績は回復しませんでした。2015年7月には、企業向け給食や仕出し弁当の製造・販売から撤退を余儀なくされ、「たいこ弁当」の運営に絞るという事業再編を行いました。

経営体制の混乱と事業破綻

2008年に本陣とたいこフーズは合併しましたが、たいこフーズが黒字化することはなく、長年の放漫経営がたたり、会社倒産へと繋がっていきました。2000年には、放漫経営の責任者であった本陣の代表が退陣しましたが、その後も社長は創業家である水田一族の間で4度も交代するなど、経営体制は混乱を極めました。高収益のおせち料理部門の責任者が経営陣と対立し2011年に退社するなど、人材流出も相次ぎました。

「たいこ弁当」の店舗数は、破綻間際には姫路市を中心に19店舗にまで縮小しました。2009年3月には、セルフ式うどんに参入しましたが、わずか3ヶ月で撤退するなど、経営戦略は迷走しました。本社工場の売却など、場当たり的な資産売却による資金調達を続けましたが、2016年期には4期連続で最終赤字を計上し、事業継続が困難となり、2017年1月31日に事業を停止し、自己破産に至りました。

会社概要

株式会社本陣（本社）

所在地: 兵庫県加西市北条町東南235
事業内容:
弁当・寿司・惣菜の販売
うどん・店内加工製造販売
一般製製品の販売
仕出し商品の受注

関連情報

弁当

外部リンク

公式サイト - ウェイバックマシン（2017年1月31日アーカイブ分）

もう一度検索