たくろうLIVE'73

よしだたくろう LIVE '73

『よしだたくろう LIVE '73』は、1973年12月21日に吉田拓郎によってリリースされたライブアルバムであり、1973年11月26・27日に東京中野サンプラザホールで行われたライヴの音源を収録しています。この作品は、日本の音楽史において本格的なライブ録音として高く評価されています。さらに、1986年にはCDとしても発売され、2006年に再リリースされるなど、世代を超えて愛されています。

このアルバムは、著名なミュージシャンたちに支えられ、ブラスやストリングスを伴う壮大なサウンドが特徴です。収録曲のほとんどが新曲で構成されており、当時の音楽シーンでは珍しい形式をとっています。特に、曲名の後に'73と付け加えられた楽曲が多く含まれており、新しい試みが随所に見られます。これにより、単なるライブ盤に留まらず、オリジナルのアルバムと同様の価値が与えられているのです。

当時、吉田拓郎はアルバム『伽草子』をリリースしたばかりでしたが、『LIVE '73』に収録された楽曲はそのアルバムの曲とは異なり、独自のスタイルで新しい音楽の可能性を追求したものです。このライブパフォーマンスでは、「ビートルズが教えてくれた」と「新しい朝」という二曲のみが『伽草子』からの曲として演奏されていますが、それ以外の新曲が主に披露されています。

このライブは、吉田拓郎の私生活でも重要な時期に行われました。前年の6月に結婚し、ツアー中に婦女暴行事件で逮捕されるというトラブルを乗り越えた後のステージであり、彼自身にとっても特別な意味を持つイベントだったとされています。実際、アルバムについてインタビューの中で「望みを捨てろ」に関しては失敗だったと語っており、他のトラックには満足感を示しています。特に、このアルバムのエンディングにあたる「望みを捨てろ」はフェイドアウト方式で終了しており、カセットテープ版では収録時間が長くなる仕様もあるなど、細かな工夫が凝らされています。

また、ビーズ創業者の長戸大幸がこのアルバムを聴いて影響を受け、音楽の道に戻る決意を固めたというエピソードも注目すべき点です。こうした影響は、長戸が制作したシングル「タイムライン」にも見られ、拓郎の音楽がどれほど多くの人々にインスピレーションを与えたかを物語っています。

収録曲

以下は、全編曲を手がけた瀬尾一三と村岡建による『よしだたくろう LIVE '73』の収録曲リストです：
1. 春だったね '73
2. マークⅡ '73
3. 君去りし後
4. 君が好き
5. 都万の秋
6. むなしさだけがあった
7. 落陽
8. 雨が空から降れば
9. こうき心 '73
10. 野の仏
11. 晩餐
12. ひらひら
13. 望みを捨てろ

このアルバムはただの音源ではなく、当時の吉田拓郎の音楽が如何に重要な役割を果たしていたかを示す貴重な記録です。音楽と共に彼の人生とその時代の空気を感じることができる一枚といえるでしょう。

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