ただいまワイド

ただいまワイド

東北放送（TBCテレビ）が平日の夕方に放送していたローカルワイド番組、『ただいまワイド』は、1994年10月17日にその歴史を開始し、1997年9月26日までおよそ3年間にわたり視聴者に情報を提供しました。

番組がスタートした1990年代半ばは、日本各地のテレビ局で夕方の時間帯に自社制作のワイド番組を立ち上げる動きが盛んになった時期にあたります。宮城県内においても、先行して放送されていた仙台放送の『夕やけTV編集局』が一定の支持を得ていました。これに対抗し、東北放送も夕方枠の強化を決断。新たなローカルワイド番組として『ただいまワイド』の放送が始まりました。

番組開始にあたり、東北放送は総合司会として、当時同局の人気アナウンサーであった石川太郎氏を起用しました。石川氏は、ラジオ番組『ラジオはAM翔んでけ電波』やテレビ番組『ザ・テレビック』などで既に広く知られており、その親しみやすい人柄と巧みな話術で多くのリスナー・視聴者からの支持を得ていました。番組には『太郎の生いき情報館』というサブタイトルが付けられ、石川氏の個性や視点を前面に押し出した番組作りが進められました。このスタイルは多くの視聴者に受け入れられ、番組は順調なスタートを切りました。

しかし、放送期間の中盤に差し掛かった1996年6月、番組は大きな転換期を迎えます。初代総合司会であった石川太郎氏が、TBS系列全国ネットの朝の情報番組『おはようクジラ』の中継キャスターとして東京へ異動することになったためです。これに伴い、『ただいまワイド』の総合司会は、同じ東北放送アナウンサーである若生哲旺氏に引き継がれました。

司会交代後、番組はリニューアルを実施します。特に、それまで番組内で放送されていた18時台のニュースコーナーが、『TBCニュースウェーブ』として独立した番組へと改編されました。そして、1996年10月からは番組タイトルも新たに『新・ただいまワイド』と変更し、内容の刷新を図りました。

このリニューアルによって新たなスタートを切った『新・ただいまワイド』でしたが、視聴者の支持を十分に得ることは難しかったようです。タイトル変更からわずか1年後の1997年9月26日をもって、番組はその放送を終了しました。短い期間ではありましたが、石川太郎氏の個性的な司会による初期、そして若生哲旺氏への交代とリニューアルを経た後期と、番組はその歴史の中で変化を遂げました。

番組を彩った出演者としては、総合司会を務めた石川太郎氏、若生哲旺氏のほか、ニュースキャスターとして郡和子氏、橋本俊一氏が担当しました。また、日立HITプラザなどからの定点中継を担当した藤沢智子氏、中野文恵氏、鈴木恵子氏、さわともか氏、そして各地からのリポートを担当した大木香乃氏、佐藤修氏など、多くのリポーターやアナウンサーが番組に貢献しました。これらの出演者たちが、当時の東北地方の夕方の情報ニーズに応えるべく、日々の放送を支えていたのです。

『ただいまワイド』は、東北放送が夕方ローカルワイド番組の競争が激化する中で立ち上げた意欲的な試みであり、人気アナウンサーを前面に押し出すなど特色ある番組作りを目指しましたが、約3年という期間で幕を閉じました。しかし、この番組の経験は、その後の東北放送の夕方情報番組の歴史に繋がる一歩となったと言えるでしょう。

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