たつみや章

たつみや章：児童文学とボーイズラブ、二つの顔を持つ作家

たつみや章（1954年7月2日生まれ）は、児童文学作家として著名でありながら、秋月こお名義でボーイズラブ（BL）小説も執筆していたという、多才な顔を持つ作家です。本名は廣瀬賜代。

生い立ちと転機

埼玉県大宮市（現さいたま市）で生まれ、神奈川県逗子市で育ちました。明治大学文学部史学地理学科を卒業後、結婚を機に熊本県へ移住。夫との死別後、一男三女を女手一つで育てながら、作家としての道を歩み始めます。

ボーイズラブ作家「秋月こお」としての活躍

1989年、BL小説雑誌「小説JUNE」にて秋月こお名義で「独り白書」を発表し、ボーイズラブ作家としてデビュー。同誌で数多くの短編作品を発表した後、1993年からは代表作となる「富士見二丁目交響楽団」シリーズを連載。このシリーズは2012年の連載終了まで、同誌の看板作品として人気を博し、角川ルビー文庫からリリースされた単行本は累計400万部を超える大ヒットとなりました。

主な秋月こお名義の作品

富士見二丁目交響楽団シリーズ
ワンダーBOYシリーズ
カシミアのダンディ
テンペラシリーズ
宇宙海賊宝舟組!
青春新撰組BARAGAKI!
ペーパームーン・ラプソディー
右京さま参る
タンデムノート
やってらんねェぜ!
チャンプ
夢見る眠り男
身持ちの悪い姫と騎士
Barパラダイスへようこそ
王朝春宵ロマンセ
要人警護
幸村殿、艶にて候
公爵様の羊飼い

2017年を最後に作家を廃業しています。

児童文学作家「たつみや章」としての才能開花

1992年、たつみや章名義で児童文学作家としてデビュー。『ぼくの・稲荷山戦記』で第32回講談社児童文学新人賞を受賞し、翌年には第34回熊日文学賞も受賞。以降、児童文学の世界でも確固たる地位を築きます。

主なたつみや章名義の作品

月神シリーズ
月神の統べる森で
地の掟 月のまなざし
天地のはざま
月冠の巫王
裔を継ぐ者
イサナシリーズ
イサナと不知火のきみ
イサナ 龍宮の闘いへ
ぼくの・稲荷山戦記
夜の神話
じっぽ ―まいごのかっぱはくいしんぼう―
水の伝説
スズメぼうし
むつゴロウ大統領がんばる
恋ヶ淵 百夜迷宮
* 冥界伝説 ―たかむらの井戸―

社会活動への貢献

たつみや章は、作家活動だけでなく、社会活動にも積極的に参加しました。「熊本市の学校図書館を考える会」の結成や、「しんぐるP（ペアレント）ネット熊本」の代表、「私たちの願いを市政に届ける会」の代表などを務め、2003年には熊本市議会議員に初当選。教育市民委員会委員として、地域社会に貢献しました。また、NPO法人「本はよかバイ」や「くまもとLRT市民研究会」の設立にも携わるなど、多岐にわたる活動を展開しました。

多様な才能と社会への貢献

たつみや章は、児童文学とボーイズラブという異なるジャンルで才能を発揮し、数々の賞を受賞しました。その作品は、多くの読者に感動と興奮を与え、児童文学界、BL界に大きな影響を与えました。また、社会活動にも積極的に参加し、地域社会の発展に貢献するなど、その人生は多岐にわたっています。たつみや章の功績は、これからも多くの人々に語り継がれていくことでしょう。

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