たてもん祭り

たてもん祭りの魅力と背景

富山県魚津市で毎年恒例のたてもん祭りは、諏訪神社の夏季祭礼として知られています。この祭りは1970年に魚津観光まつりの一環として始まり、毎年8月の第1金曜日と土曜日の2日間にわたって開催されます。かつては8月7日と8日に行われていましたが、現在の形式が確立されて久しいです。この祭りは国の重要無形民俗文化財に指定されており、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。

たてもんの概要

たてもん祭りのメインイベントであるたてもんは、約16メートルの高さを誇る山車で、諏訪神社の氏子町から集まった7基のたてもんが曳かれます。これにより安全な航海と豊漁を祈念する儀式が行われます。その起源は不明ですが、古くは9基から11基が曳かれていたとも言われています。昭和の初めには元町や諏訪町、立町、下町、下新町の9町内が参加していましたが、現在は新興の港町も加わり、7基となりました。たてもんという名称は「神前に贄を供え捧げたてまつる物」を意味し、実際には漁で獲れた魚を神に捧げるための帆掛け舟を模ったものです。

たてもん祭りの始まりは、享保年間中頃（1720年頃）に遡り、以後300年以上にわたり行われてきました。この祭りは北日本の「ねぷた」や諏訪の「御柱祭」の影響を受けており、地域独自の伝統が蓄積されています。1972年には富山県の有形民俗文化財に指定され、1981年には無形文化財に選ばれ、さらに1997年には国の重要無形民俗文化財として認定されました。また、2016年にユネスコの無形文化遺産としても登録され、その価値が国際的に認められました。

現在のたてもん祭り

しかし、近年の少子高齢化や世帯減少により、曳き手が不足しており、ボランティアの「たてもん協力隊」を設けて対応しています。2020年には新型コロナウイルスの影響で祭りの曳き回しは中止となり、神事だけが行われました。

たてもんは帆掛け舟を模した大きな灯籠で、長さ約16メートルの心柱を中心に、底辺約8メートルの二等辺三角形の枠が組まれています。そのフレームには60～100の縁起の良い図柄を描いた丸提灯やぼんぼりが吊るされ、祭りを彩ります。特に夜になると提灯の明かりがともり、幻想的な雰囲気が漂います。

祭り当日の流れ

たてもん祭りの当日、夕方には7基のたてもんが神社に集まり、くじ引きで順番を決めます。その後、1基ずつ境内に入り、若衆たちが持つ控え綱を頼りに、勇壮な回転の演技を行います。この時、提灯の光と飾りが美しい輪を描き、見る者を魅了します。祭りは深夜まで続き、各町内での打ち上げも行われます。

また、たてもん祭りは地域の文化の象徴であり、観光の重要な要素ともなっています。市内には小型のたてもんや縮小模型が常設展示されており、祭りの歴史や意義を伝えています。

たてもんの言い方と地域の誇り

「たてもん」という言葉の発音については、地域やメディアにより異なる表記がされることがありますが、正しいイントネーションがあることを知ることで、より地域に根ざした祭りへの理解が深まります。たてもんを所有する町は、各々が独自のスタイルを持ち、提灯の絵柄にも地域の特色が表れています。さらに、子どもたち用のミニたてもんも新調され、次世代への継承が進んでいます。

まとめ

たてもん祭りは、地域の人々が一体となり、数百年の伝統を今に受け継ぐ美しい祭りです。訪れることで、地元の人々の熱い思いや文化を感じ、その魅力に触れることができます。

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