ため息つかせて

『ため息つかせて』(原題: Waiting to Exhale)は、1995年に公開されたアメリカ合衆国のロマンティック・コメディ映画です。テリー・マクミランによる同名ベストセラー小説を映画化した作品で、アフリカ系アメリカ人女性の友情と、それぞれの複雑な恋愛模様をリアルに描いています。

監督を務めたのは、アフリカ系アメリカ人俳優として名高いフォレスト・ウィテカー。これが彼の監督デビュー作となりました。さらに、ホイットニー・ヒューストン、アンジェラ・バセットら、実力派アフリカ系アメリカ人俳優たちが主要キャストとして名を連ねています。豪華な顔ぶれが、作品に深みと重みを与えています。

物語は、大晦日にアリゾナ州フェニックスへ引っ越してきたテレビプロデューサーのサヴァンナから始まります。彼女はそこで、親友のバーナディンと再会します。しかし、バーナディンは11年間連れ添った夫から、会社の経理担当の白人女性との生活を望むと突然離婚を告げられ、大きなショックを受けています。

バーナディンの友人であるグロリアは、ヘアサロンを経営する女性です。彼女は大学時代から結婚生活を続けてきた夫から、ゲイであることをカミングアウトされ、人生観を揺るがされます。

もう一人の親友であるロビンは、保険会社に勤める自立した女性です。容姿端麗で男性にもモテますが、次々とハンサムな男に騙され、辛い経験を繰り返しています。

そしてサヴァンナ自身も、かつての恋人ケネスと再会し、関係を再開します。ケネスは妻との離婚を考えていると語るものの、具体的な行動には移らず、サヴァンナは彼の言葉に翻弄されます。

このように、4人の女性はそれぞれが抱える恋愛問題に直面します。夫からの突然の離婚宣告、夫の性的指向の告白、そして過去の恋人との複雑な関係など、様々な困難や葛藤が描かれ、それぞれの女性の葛藤や成長が丁寧に描かれています。

映画では、彼女たちの恋愛が様々な方向へ進んでいく様子が、リアルで繊細な描写によって描かれています。友情の絆を深め合いながら、それぞれの幸せを模索していく4人の女性の姿は、多くの女性たちの共感を呼びました。

ホイットニー・ヒューストン演じるサヴァンナは、キャリアを築きながらも、恋愛における葛藤を抱える現代的な女性像として描かれています。アンジェラ・バセット演じるバーナディンは、長年の結婚生活に終止符を打たれ、新たな人生を歩み始める女性の強さと弱さを表現しています。

レラ・ローション演じるロビンは、男性に翻弄されながらも、自身の自立した生き方を模索する女性像として、現代女性の様々な姿を投影しています。ロレッタ・デヴァイン演じるグロリアは、夫の告白を受け止め、自身の生き方を見つめ直す女性の揺れる心を表現しています。

これらの個性豊かな女性キャラクターを通して、映画は女性の友情、自立、そして恋愛観といった普遍的なテーマを深く掘り下げています。アフリカ系アメリカ人女性の視点から描かれることで、よりリアルで共感できる物語となっています。

『ため息つかせて』は、単なるロマンティック・コメディではなく、女性の生き方や友情、そして恋愛に対する複雑な感情を丁寧に描いた人間ドラマです。登場人物たちの葛藤や成長を通して、観る者に多くの感動と共感を届けます。映画は、アフリカ系アメリカ人女性たちのリアルな姿と、彼女たちの友情と愛の物語を鮮やかに描き出しており、時代を超えて愛される名作として評価されています。

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