たんけんぼくのまち

『たんけんぼくのまち』：地域社会を自転車で探検！

1984年から1992年にかけて、NHK教育テレビで放送された『たんけんぼくのまち』は、小学校3年生向けの社会科教育番組として、長年にわたり多くの視聴者から愛されました。全160回にわたるシリーズを通して、俳優の長島雄一さんが演じる主人公「チョーさん」が、日本一の店長を目指す物語が展開されました。

チョーさんの冒険：配達と探検

チョーさんは、舞台となる都市の商店に下宿しながら、配達員として地域社会を駆け巡ります。彼の愛車である自転車「チョーさん号」は、ひょっとこ面やガラガラなどで飾られ、番組の象徴的な存在でした。配達業務のかたわら、チョーさんは町のさまざまな場所を訪れ、人々との触れ合いを通して、地域社会の仕組みや特色を学んでいきます。

チョーさんの探検の成果は、「たんけん地図」という手書きの大判イラストにまとめられます。当初は学習色の強い回のみでしたが、後に毎回作成されるようになり、視聴者にとって番組の見どころの一つとなりました。地方ロケは、毎回約4泊5日を要する大規模なものでした。

個性豊かな登場人物たち

チョーさん以外にも、個性豊かな登場人物たちが番組を彩ります。チョーさんが下宿する商店の経営者である「おじさんとおばさん」は、彼を温かく見守り、成長をサポートします。また、チョーさんの家族も登場し、物語に深みを与えています。チョーさんの母親役には小山明子さん、祖父役には辻三太郎さんがゲスト出演しました。

チョーさんの成長と変化

番組開始当初は、少し抜けたところもある青年だったチョーさんですが、回を重ねるごとに成長していきます。シリーズ終盤では、念願だった自分の店を持つことになり、独立を果たします。番組後期にはワープロを「チョーさん号」に載せ、各地の小学校から届いた表彰状や大漁旗を携え、人々に惜しまれつつ旅立ちました。その後は「チョーソン」という店を開業。2009年の特番では不況の影響で経営不振に陥るも、宅配サービスやネット通販に事業を拡大するなど、時代に合わせて変化を遂げました。

サウンドトラックと主題歌

オープニングテーマソングは、当初坂本九さんが担当していましたが、日本航空123便墜落事故後には、長島さんが2代目として歌い継ぎました。この主題歌は、坂本九さんバージョンと長島雄一さんバージョンの両方がCDに収録されています。また、エンディングテーマには、Winkの『さよならだけどさよならじゃない』が使用されていました。

放送と舞台

『たんけんぼくのまち』は、8年間、毎年異なる都市を舞台に制作されました。1984年度から1991年度までの舞台は、長野県諏訪市、茨城県那珂湊市（現ひたちなか市）、福島県いわき市小名浜、静岡県清水市（現静岡市清水区）、長野県岡谷市、神奈川県三浦市と、主に湖や海辺の町が選ばれていました。

番組の復活と保存

番組終了後も、『たんけんぼくのまち』は、NHKの教育テレビ50周年特番や「Eテレ こどもの日まつり」など、様々な形で復活を遂げています。2009年にはハイビジョン制作による新作が放送され、DVD化もされました。また、NHKアーカイブスには当初、放送回が保存されていませんでしたが、一般視聴者からの提供やスタッフの協力を得て、全話保存されることとなりました。

後継番組と関連番組

『たんけんぼくのまち』の後継番組として、『このまちだいすき』や『コノマチ☆リサーチ』があり、チョーさん役の長島雄一さんも出演しています。また、関連番組として、クラさんが出演した小学4年向けの社会科番組『わたしたちのくらし』も挙げられます。

まとめ

『たんけんぼくのまち』は、チョーさんのユーモラスなキャラクターと、地域社会の魅力を丁寧に描いた構成、そして教育番組としての高い完成度によって、多くの視聴者から愛され続けています。現在でも、DVDや特番を通して、その魅力に触れることができます。

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