ちいさな恋

「ちいさな恋」は、1972年2月5日に世に送り出された、歌手・天地真理にとって通算2作目となるシングルレコードの表題曲です。可愛らしいタイトルとは裏腹に、この楽曲は彼女のその後のキャリアにおいて極めて重要な意味を持つことになります。

このシングルは、天地真理にとって初めてオリコン週間シングルチャートで第1位に輝いた記念すべき作品となりました。当時の歌謡界において、新人アイドルがオリコンの頂点に立つことは、その人気と実力を示す大きな証であり、彼女の人気を不動のものとする決定打となったのです。

オリコンチャートでの動向を詳細に見ると、「ちいさな恋」は発売から間もない1972年2月14日付の週間チャートに、いきなり4位で初登場という鮮烈なデビューを飾りました。その後も着実に支持を集め、初登場から5週間後にはついに週間チャートの首位を獲得。さらにその勢いは衰えず、合計で4週連続で1位の座を維持するという快挙を達成しました。週間チャートの10位以内には実に12週間にわたってランクインし続け、100位以内にも22週間という長期間にわたり留まるという、驚異的なロングヒットとなりました。

これらのチャートアクションが示すように、楽曲は多くの人々に愛され、その売上も目覚ましいものでした。オリコンによる集計では、約54.7万枚という販売枚数を記録しています。さらに公称では累計90万枚にも達したとされており、当時の社会現象とも言える天地真理の人気ぶりがうかがえます。この大ヒットにより、「ちいさな恋」は1972年の年間オリコンシングルチャートで9位にランクイン。この年の日本の歌謡シーンを代表する楽曲の一つとして、歴史に名を刻むことになったのです。

シングルには、表題曲の他にカップリング曲が収録されています。A面にあたる「ちいさな恋」は、作詞を安井かずみ、作曲を浜口庫之助、そして編曲を馬飼野俊一という、当時のヒットメイカーたちが手がけました。B面には「ある日私も」が収められており、こちらは作詞をわだじゅんこが担当。作曲・編曲は「ちいさな恋」と同じく浜口庫之助と馬飼野俊一のコンビによるものです。

この楽曲は、後にリリースされた天地真理の数々のアルバムやベスト盤にもたびたび収録されています。例えば、彼女のコンプリートシングルコレクションである『GOLDEN☆BEST 天地真理 コンプリート・シングル・コレクション・アンド・モア』や、『天地真理 プレミアム・ボックス』といった主要な作品集には必ずと言っていいほど収められており、現在でも聴くことができます。また、2006年には『35th Anniversary』と題された企画盤の中で、新たなボーカルで再録音されたバージョンも発表されています。

「ちいさな恋」は、1972年の日本の音楽シーンを語る上で欠かせない楽曲であり、アイドル歌手・天地真理の黎明期を象徴する、輝かしい一曲として今なお多くのファンの心に残っています。

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