ちくろ幼稚園

ちくろ幼稚園

『ちくろ幼稚園』は、西原理恵子による日本の漫画作品。小学館の『週刊ヤングサンデー』にて昭和63年（1988年）19号から平成6年（1994年）23号まで連載されました。単行本は全3巻、727話に及びます。

キャッチコピーは「お母様方へ かわいいだけじゃない本です。」「サイバラ式こどもの飼い方」「サイバラの本業はまんが家です。」。エロ本あがりの西原理恵子のメジャーデビュー作として知られています。

概要

本作は、主人公の幼稚園児りえちゃんが繰り広げる、悪意のないサディスティックな行動をギャグタッチで描いた4コマ漫画です。可愛らしい絵柄とは裏腹に、過激な暴力や汚物描写など、反社会的なブラックユーモアが満載。しかし、時には叙情的な場面も描かれ、毒と叙情が混在する西原作品の特徴が、デビュー作からすでに確立されています。

当初は幼稚園が舞台でしたが、物語が進むにつれて幼稚園の描写はほとんどなくなりました。作者の実体験が色濃く反映されている点も特徴です。「ちくろ」というタイトルは、西原が子供の頃に使用禁止となった人工甘味料「チクロ」に由来します。

主な登場人物

りえちゃん: 本作の主人公。幼稚園に通う可愛らしい女の子ですが、子供特有の残酷さを持っています。好奇心旺盛で、周囲を巻き込むトラブルメーカー。兄のたかひこが苦手。
おにいちゃん（たかひこ）: りえちゃんの兄。パンチパーマで不機嫌そうな表情をしています。りえちゃんに意地悪をしますが、たまに優しい一面も見せます。年齢は不明ですが、おそらく小学生。
おとうさん: りえちゃんの父。りえちゃんを溺愛しており、娘に近づく男を許しません。りえちゃんと遊ぶ中川兄弟を目の敵にしています。
おかあさん: りえちゃんの母。レギュラーキャラクターの中では比較的常識人です。
中川くん: りえちゃんの幼稚園友達。りえちゃんに恋心を抱いていますが、全く相手にされていません。鶏が苦手で、おちんちんが小さいことがコンプレックス。弟同様、不死身の体質を持っています。
おとうとくん: 中川くんの弟。「崖から落ちる」「熊に喰われる」「電子レンジでチン」「トイレに流される」など、どんな目に遭っても死なない不死身の体質。りえちゃんにいじめられても、めげずに後を追いかけます。
中川くんのママ: 中川兄弟の母。なぜか中川くんには冷たい態度を取ります。独身時代の経験からか、女性としてのスキルが高く、しほちゃんに師匠として慕われています。
みぎのちゃん: りえちゃんの幼稚園友達。作者の幼稚園時代の友達「みきのちゃん」がモデル。『まあじゃんほうろうき』にも言及されています。
しほちゃん: 大阪出身の女の子。打算的な性格で、世の中の裏表を知り尽くしたような言動をします。家庭環境は複雑。りえちゃんよりも、成長した作者自身に近いキャラクターとも言えます。
タクヤくん: お金持ちで、金銭で威張ろうとする男の子。周囲からは相手にされていません。作者の家の近所に住んでいた病院の息子がモデル。
幼稚園の先生: 場末のバーのマダムのような容貌。りえちゃんに手を焼いています。幼稚園が舞台から外れたことで、出番がなくなりました。

書誌情報

西原理恵子 『ちくろ幼稚園』 小学館〈ヤングサンデーコミックス〉、全3巻
1991年9月発売 ISBN 4-09-179101-8
1994年7月発売 ISBN 4-09-179102-6
1994年12月発売 ISBN 4-09-179103-4
西原理恵子 『ちくろ幼稚園 ぜんぶ』 小学館〈ヤングサンデーコミックス ワイド版〉、全1巻
1999年10月発売 ISBN 4-09-152851-1
西原理恵子 『ちくろ幼稚園』 小学館〈小学館文庫〉、全2巻
入園編 2001年11月発売 ISBN 4-09-193381-5
卒園編 2001年11月発売 ISBN 4-09-193382-3

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