つがざくら

水樹奈々の原点、幻のインディーズシングル「つがざくら」

「つがざくら」は、声優・歌手として広く知られる水樹奈々さんが、まだ近藤奈々として活動していた時代にリリースしたインディーズシングルです。この楽曲は、愛媛県新居浜市の観光協会事務局長であった高橋弘明氏が、自身の退職を機に、新居浜市を代表する別子銅山のPRを目的として制作されました。

1990年暮れに制作が開始され、1993年に自主制作盤のカセットテープ1000本が関係者に頒布されました。さらに、放送局向けにCDが10枚制作されました。その後、水樹さんの両親がカセットテープ500本を追加で発注しています。

主に、関係者のみに無償で配布されたという希少性から、2020年時点ではインターネットオークションで10万円以上もの高額で取引されることがあります。まさに幻のシングルと言えるでしょう。

若き日の水樹奈々が歌い上げる、別子銅山への想い

歌い手には、当時中学生で、市内ののど自慢大会で抜群の歌唱力を誇っていた近藤奈々さん（現・水樹奈々）が起用されました。人選について、水樹さんは2016年に自身のラジオ番組で、「深い歴史のある別子銅山の歌なので大人が歌うと哀愁が強まって暗くなってしまい、だからこそ少女に歌ってもらいたかった」と語っています。

この楽曲は、水樹さんにとって生涯初のレコーディング作品であるという記述も存在しますが、実際には小学生時代の1988年にもカセットテープ「人形の涙/ふるさと太鼓」の自主制作を行っています。

水樹さんのプロデビュー後には、2020年までに3度、故郷である新居浜市でのコンサートに出演した際にこの「つがざくら」を披露しています。水樹さん自身も「地元愛媛で歌いたい一曲」「私にとって特別ないい曲」と発言しており、この楽曲への特別な思い入れがうかがえます。

ジャケット写真と楽曲に込められたメッセージ

初期に制作された1000本のカセットテープのジャケットには、別子銅山記念館で撮影された写真が使用されています。追加で制作された500本には、近藤さんのステージ衣装写真が用いられました。

楽曲は、哀愁を帯びたメロディーに若い歌声が乗り、別子銅山の新年行事「大ばく祭」を懐かしむ内容となっています。作詞・作曲を手掛けた高橋氏は、「観光の大切さと自然保護、自分の気持ちと気がかりなことを歌にした」と述べています。また、秋冬から春へと移ろう季節に佇む別子銅山と別子山を描きつつ、山に自生するツガザクラを象徴として、厳しい試練を乗り越えた先の希望を表現しています。

楽曲情報

A面：つがざくら（唄入り）
作詞・作曲：高橋弘明
* B面：つがざくら（カラオケ）


水樹奈々さんの原点とも言える「つがざくら」は、彼女の歌声と共に、別子銅山の歴史と自然、そして未来への希望を伝える貴重な作品です。

水樹奈々【LIVE RUNNERリハーサルスタジオミニライブ】 - 水樹奈々（Youtube 後半に「つがざくら」を歌唱）

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