つばさ (人工衛星)

つばさ (MDS-1) – 日本の民生部品・コンポーネント実証衛星

つばさ（Mission Demonstration test Satellite-1、略称：MDS-1）は、日本の宇宙開発における重要な衛星であり、民生部品やコンポーネントの実証を目的に開発されました。2002年2月4日にH-IIAロケットで打ち上げられ、想定されたミッション期間を超えて、1年7か月にわたって成果を上げました。これにより、つばさは日本の衛星技術の発展に大きく寄与しました。

ミッションの目的と背景

つばさの主な目的は、民生部品が宇宙環境下でどのように機能するかを確認することでした。これは、特に放射線が強いヴァン・アレン帯を通過する際の信頼性を評価するもので、静止トランスファー軌道での運用が必要でした。そのため、従来の手法では5年以上かかる開発を3年間で完成させることを目指しましたが、最終的には打ち上げ計画の見直しにより4年半かかりました。

打ち上げから運用終了までの経緯

つばさは種子島宇宙センターからH-IIAロケット2号機と共に打ち上げられ、初期のチェックアウトは短期間で行われ、すぐに定常段階へと進みました。約1年後の2003年には、設計された全てのミッション機器によるデータ取得を終え、後期利用段階に移行しました。しかし、すべてのミッションが順調に進んだわけではなく、2003年に電源系の不具合が発生し、最終的に運用終了が決定されました。

その後、2003年9月25日に停波コマンドが送信され、2日後にはミッションが正式に終了しました。この際には、スペースデブリ発生を防ぐために、運用終了前に軌道変更が行われました。

バス機器と設計戦略

つばさのバス機器は既存の技術を採用することでリスクを軽減し、コストを削減することを目指しました。同時に、新たな開発要素を持ち込まず、短期間での開発を進める方針が採られました。バス機器はパネル構造で設計され、約5rpmで回転する方式が採用されています。また、太陽電池パネルには、放射線に耐えるGaAs（ヒ化ガリウム）系太陽電池を使用し、性能の向上を図りました。

ミッション機器とその評価

つばさには、3グループ6つのミッションが搭載され、全ての機器が非常に良い評価を受けました。特に、民生半導体のデータ取得や、次世代太陽電池セルの開発において、重要な知見が得られました。コンポーネント実証機器は、高性能かつ小型化に成功したことが評価され、宇宙環境下での実証に成功しました。

開発にかかる費用と成果

予算は約60億円に設定され、実際には62億円で運営され、ほぼ計画通りに進みました。ミッション機器やバス機器、追跡運用への分配も計画通りに報告されています。このように、つばさのミッションは技術的な革新だけでなく、開発運営においても大きな成功を収めました。

結論

つばさは日本の宇宙開発において重要な役割を果たしました。民生部品やコンポーネントの宇宙環境での実証を行い、今後の技術開発に向けて貴重なデータを収集しました。バス機器からミッション機器まで、多面的に宇宙開発に寄与した点は評価され、将来的な宇宙開発への基盤を形成しました。

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