てとてトライオン!

てとてトライオン! - 学園トラブル解決ADV

『てとてトライオン!』(TE to TE TRY ON!)は、株式会社ウィル傘下のブランド、PULLTOPから2008年8月29日にリリースされた18歳以上推奨の恋愛アドベンチャーゲームです。その後、2012年3月27日にはBOOST ONよりPlayStation Portable移植版『てとてトライオン! TROPICAL』が発売されました。PSP版では、各ヒロインに追加イベントが加えられたほか、全てのヒロインルートをクリア後に楽しめるエクストラシナリオが新たに収録されています。

舞台となる学園とシステム障害

物語の舞台となるのは、南国風テーマパークの計画地を改修して作られた私立獅子ヶ崎（ししがさき）学園。海辺の広大な敷地には、校舎の他にリゾートホテルを転用した学生寮「白波寮」や商店街「獅子ヶ崎ロード」などが点在する全寮制の学校です。この学園には、最先端の管理システムとして「PITAシステム」が試験導入されています。
PITAシステム（正式名称: 非接触式生体認証システム Palm InsTant Authentication SYSTEM）は、手のひらをかざすことで生体情報を読み取り個人認証を行う画期的なシステムで、高い安全性を誇ります。学園内の様々な設備や施設の利用、さらには空調や照明の個人最適化などにも活用される予定でした。しかし、約2年前に発生した超大型台風「ハリケーンブラック」の影響でシステムがダウン。その後復旧はしたものの、システム内に深刻な障害が残り、施設の一部が使えなくなるなど、様々なトラブルが頻発し生徒たちは不便な生活を強いられています。

ストーリー：トラブルに立ち向かう「獅子ヶ崎トライオン」

主人公である鷲塚慎一郎は、科学者の父親である宗鉄に連れられ、約1年間世界各地を転々とする放浪生活を送っていました。しかし、父親が数年間日本を離れる大規模な仕事に就くことになり、その手配で獅子ヶ崎学園に転入することになります。転入早々、システム障害によるトラブルに遭遇した慎一郎は、その場で機転を利かせ活躍したことから、「獅子ヶ崎の救世主」として注目を集めます。
彼の活躍を見た生徒会は、学園内で多発するトラブルの解決を担う「獅子ヶ崎やってみよう会」（後に「獅子ヶ崎トライオン」と改称）への参加を要請。慎一郎はこれを受け入れ、ヒロインたちと共に学園で起こる様々な問題を解決するため奔走する日々を送ることになります。

主要な登場人物

主人公

鷲塚 慎一郎（わしづか しんいちろう）: 科学者の父との旅で科学知識やサバイバルスキル、動物的な勘が身についた学園2年生。誠実で優しい性格ですが、女性にはシャイで度々からかわれます。水泳だけは全く苦手。転入直後の活躍でトラブル解決チーム「獅子ヶ崎トライオン」に加わります。

獅子ヶ崎トライオン（ヒロイン）

学園のトラブル解決を目的とする生徒会統括の組織。「獅子ヶ崎やってみよう会」から慎一郎加入を機に改名されました。

織原 夏海（おりはら なつみ）: 慎一郎のクラスメイト。獅子ヶ崎育ちで明るく人懐っこい性格。水泳部エースで人間離れした運動能力を持ち、カフェテラス「サニーサイド」の看板娘でもあります。PITAリーダーを所有。
十倉 手鞠（とくら てまり）: 生徒会役員兼寮長。クールで控えめながらお茶目な一面も。PITAシステム開発者である父を持ち、自身も数学とプログラムの天才。学園システム管理を担い、PITAリーダーを所有。
蓮見 一乃（はすみ いちの）: カリスマ生徒会長。容姿端麗でお祭り好き、生徒からの人気は絶大。歴代会長の白い学ランを纏います。トラブル対応は迅速ですが、私生活はだらしない一面も。トラブル解決チームの発案者で、PITAリーダーを所有。
胡桃沢 鈴姫（くるみざわ すずき）: 学園総合警備部（学警）部長の1年生。生真面目で正義感が強く、格闘術の心得もあります。思い込みが激しく暴走しがち。学警の活動が多忙なため、トライオンでは臨時メンバー扱い。PITAリーダーを所有。

その他の登場人物

倉田 ちさと: 夏海の幼馴染みでクラスメイト、サニーサイドの従業員。面倒見が良く、クラスの母親的存在。裁縫が得意でダイエットに熱心。
葉山 鷹子: 3年生で生徒会役員、白波寮副寮長。手鞠の幼馴染みかつルームメイトで、彼女に対して過保護。運動神経抜群で改造自転車を乗りこなします。
藤ヶ峰 芹菜: 3年生で生徒会副会長、一乃の親友かつルームメイト。「生徒会の二枚看板」の一人。普段は穏やかですが、一乃の暴走には厳しいツッコミを入れます。
瀬名 優: 1年生で水泳部員、鈴姫の親友かつルームメイト。ボーイッシュな体育会系で、暴走しがちな鈴姫のストッパー役ですが、巻き込まれることもしばしば。
藤ヶ峰 なずな: 慎一郎たちの担任。おっとりした天然ボケで生徒からは慕われています。実は芹菜の母親。

用語解説：PITAシステムと「トライオン」

PITAシステム: 非接触式生体認証システムの略称。手のひらをかざすことで認証を行い、機器の操作や情報伝達なども可能とする先進システムですが、障害を抱えています。
PITAリーダー: PITAシステムの生体情報読み取り機能を持つ携帯端末。ヒロイン4人が所持しており、PITAシステムへのアクセス権限レベル3を持ちます。慎一郎が父親に付けられた首輪とPITAリーダー所有者が手を繋ぐ「トライオン」を行うことで、一時的に最高レベルの権限が得られ、システムへの深い介入が可能になります。
* 特活: 特別部活の略。ハリケーンブラック後の学園運営を支えるため、生徒が義務として行う活動全般を指します。

開発背景と評価

本作の企画は2006年秋にスタート。「スポーツ少女」「夏の自然」「恋」といった閃きから始まり、「手を繋ぐ」というテーマと、「テーマパークを改造した学園」という舞台設定が固められました。特に「手を繋ぐ」というテーマには、人と人との繋がりの始まりであり、その際の「ドキドキ感」を表現したいという思いが込められています。
タイトルの「てとてトライオン!」は「手を繋ぐ」から発想され、略称を4文字にするために「トライオン」という言葉が選ばれました。そこから連想された「ライオン」にちなんで、舞台が「獅子ヶ崎学園」と名付けられた経緯があります。舞台のイメージとしては沖縄が念頭に置かれました。

本作は、美少女ゲームアワード2008において、シナリオ賞部門で優秀賞を受賞するなど、その物語性が高く評価されています。

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