でぃす×こみ

でぃす×こみ

『でぃす×こみ』は、ゆうきまさみによる日本の漫画作品です。女子高生が、兄の作品で新人賞を受賞してしまったことをきっかけに、BL漫画家としてデビューし、様々な苦労を重ねながら漫画を描いていく様子を描いたコメディ作品です。全3巻の単行本が刊行されています。

概要

本作は、『月刊!スピリッツ』（小学館）にて、2013年6月号から2016年11月号まで不定期連載された後、2017年8月号から同年12月号まで通常連載されました。

作者のゆうきまさみは、『鉄腕バーディーEVOLUTION』の連載中に、「自分の作品ではない漫画で新人賞を受賞してしまう」というアイデアを思いついたそうです。しかし、当時のゆうきは多忙であったため、編集部にはこのアイデアは採用されませんでした。その後、新連載のアイデアに悩んでいたゆうきに、編集者が過去のアイデアを持ちかけたことがきっかけで、本作の連載が決定しました。

ゆうきはインタビューで、担当編集者から「ゆうきにBLの素養はないと思ったから本作を描かせた」と聞いたと語っています。当初、主人公の兄が執筆して受賞する漫画は「通常の少女漫画」でしたが、編集部の意向により「BL漫画」に変更されたとのことです。

あらすじ

主人公の渡瀬かおるは、少年漫画家を目指す普通の女子高生。ある日、彼女は「奨楽社新人コミック大賞」を受賞することになります。しかし、受賞作である少女向けBL漫画「でぃす×こみ」を描いた覚えは全くありませんでした。

実は、「でぃす×こみ」は、かおるの兄である渡瀬弦太郎が、就職活動の息抜きに妹のペンネームを借りて応募した作品でした。本名を書き忘れたまま応募したため、妹の作品として扱われてしまったのです。かおるは担当編集者の八反田に事情を打ち明けようとしますが、タイミングを逃してしまい、少女漫画雑誌『フローラ』でBL漫画家としてデビューすることになります。

少年漫画志向のかおるはBL漫画のストーリーを作ることができず苦悩しますが、漫画初心者の兄・弦太郎から的確なアドバイスを受け、なんとかファンタジーBL漫画を完成させます。その後も、学校でBL漫画家であることがバレてクラスメイトの母親からクレームを受けたりと、プライベートでも作家としても苦労しながら、様々なジャンルのBL漫画を描き続けていきます。

短編集のコミックス発売も決定し、若手ナンバーワンの人気作家となったかおるは、「でぃす×こみ」の連載版の執筆も決定します。奨楽社新人コミック大賞の挨拶で、つい「でぃす×こみ」が兄の作品であることを口走ってしまいますが、1年間様々な読み切りを描いてきたかおるは、特に問題にもされず連載を続けていくことになります。

登場人物

渡瀬かおる（わたせ かおる）
主人公。少年漫画家を目指す女子高生。兄の作品でBL漫画家としてデビューすることになる。
渡瀬弦太郎（わたせ げんたろう）
かおるの兄。「でぃす×こみ」の作者。妹のペンネームを借りて応募した。
八反田（はったんだ）
『フローラ』のベテラン女性編集者。かおるの担当。
飯坂（いいざか）
フローラの新人編集者。弦太郎にアドバイスを受け、彼を尊敬している。
出井編集長（いでい へんしゅうちょう）
フローラの編集長。BLには疎い。
及川ナナオ（おいかわ ナナオ）
ベテラン漫画家。かおるがアシスタントを務める。
蘭丸しずか（らんまる しずか）
かおると同じ新人賞を受賞した漫画家。ハードなBL同人誌も制作している。
岡部、高村（おかべ、たかむら）
かおるのクラスメイトの男子。かおるの作品のファン。
* 宇田垣（うたがき）
弦太郎の高校時代の後輩。腐女子で、かおるにアドバイスをする。



本作は、BL漫画制作の裏側や、個性的なキャラクター達との交流を通して、漫画家の苦労や喜びを描いた作品です。コメディタッチで描かれており、気軽に楽しめる作品となっています。

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