とば (特務艇)

曳船「とば」（AST-421）の概要

曳船「とば」（ローマ字：JDS Toba、YT-23、AST-421）は、海上自衛隊に所属する特務艇であり、前身はアメリカ陸軍によって建造された大型港内曳船です。この艦艇は、日本の海軍史においても特に重要な位置付けとなるもので、同名の艦艇としては大日本帝国海軍の河用砲艦「鳥羽」に次ぐ、第2代目のものであると言えます。

経緯と建造

そもそも「とば」の前身である「LT-392」は、1944年6月にアメリカ・カリフォルニア州ロングビーチのホジソン・グリーン・ハルデマン造船所で竣工しました。この船は、アメリカ陸軍による大型の港内曳船として設計されたもので、木造の船体構造を持ち、当時の海軍にとっても重要な役割を果たしていました。

1955年3月2日には海上自衛隊に供与され、支援船籍の「曳船23号」（YT-23）として運用されることになりました。その後、1956年2月16日に自衛艦籍の特務艇として類別変更され、「とば」という名前に改められました。これは、海上自衛隊における曳船の中では最大のもので、横須賀地方隊に配備されました。

運用と特徴

「とば」の運用においては、海上自衛隊が所有する大型艦艇がその当時には存在していなかったため、持て余し気味であったとのことです。曳船としては船型が過大であったため、通常の港湾業務には適しておらず、主に訓練標的の曳航などに使用されることが多かったようです。また、多くの時間を横須賀基地に係留されて過ごすことがありました。

特に、海上自衛隊が大型艦艇を必要とする場面が少なく、本艇の大きさを活かしきれない状況が続いたことは「とば」の運命を左右しました。このような背景から、1965年3月31日には除籍され、最終的に返還されたのです。

艦歴のまとめ

「とば」の艦歴を振り返ると、以下のような重要な出来事がありました：

• - 1944年6月: ホジソン・グリーン・ハルデマン造船所にて竣工、アメリカ陸軍大型港内曳船「LT-392」としてデビュー。
• - 1955年3月2日: 海上自衛隊に供与され「曳船23号」（YT-23）となる。
• - 1956年2月16日: 自衛艦籍として特務艇に類別変更、名称が「とば」（AST-421）に改名。
• - 1965年3月31日: 除籍され、海上自衛隊から返還。

このように、曳船「とば」は、海上自衛隊の歴史の中で重要な役割を果たしましたが、その運用には限界があったことも否めません。日本の艦艇としての位置付けや、海上自衛隊の発展の過程において興味深い存在であったと言えるでしょう。

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