とんだ災難 (1914年の映画)

『とんだ災難』（Caught in the Rain）は、1914年に公開されたチャールズ・チャップリン監督・主演の短編サイレント映画です。キーストン社が製作し、チャップリンのフィルモグラフィーにおいて13作目に当たります。

日本語では、『にわか雨』、『雨の御難』、『半日ホテル』、『捨てられた犬』、『雨に降られて』など、様々なタイトルで知られています。

あらすじ

物語は、チャーリーが公園で女性と親密にしている場面から始まります。しかし、そこへ女性の夫が現れ、怒って妻を連れ帰ってしまいます。チャーリーは諦めきれず、後を追うように同じホテルに宿泊します。

ところが、その女性は夢遊病を患っており、無意識のうちにチャーリーの部屋に入り込み、ベッドで眠ってしまうのです。チャーリーは女性が自分のベッドにいるのを発見し、嫉妬深い夫に見つからないよう、彼女をそっと元の部屋に戻そうとします。果たして、チャーリーは無事に騒動を収めることができるのでしょうか。

背景と評価

本作は、『恋の二十分』に続くチャップリンの監督作品です。チャップリン自身は、自伝の中で本作を初監督作品としていますが、異父兄への手紙には『恋の二十分』が最初の監督作品であると記されています。映画史家のデイヴィッド・ロビンソンは、チャップリンが『恋の二十分』を習作とみなし、意図的に自身のフィルモグラフィーから除外したのではないかと推測しています。

『とんだ災難』は、チャップリンにとって監督としての将来を保障する上で重要な作品となりました。作品完成後、チャップリンは製作者のマック・セネットに作品を見せ、批評を仰ぎました。セネットはチャップリンの才能を認め、奨励の意味を込めて25ドルのボーナスを与え、それはしばらく続いたといいます。

ストーリー自体は特筆すべき点はありませんが、ロビンソンは、シーンの切り替え、接続技法、カット割り、ギャグのタイミングなどに、監督2作目にして早くも進歩が見られると評価しています。また、字幕の使用を極力控え、映像だけでストーリーを語る技術が発揮されている点も注目されています。

キャスト

チャールズ・チャップリン - ほろ酔いのホテル客
マック・スウェイン - 夫
アリス・ダヴェンポート - 妻
アリス・ハウエル - 女

日本語吹替

本作はサイレント映画ですが、チャップリンのデビュー100周年を記念して、2014年にスター・チャンネルで日本語吹替版が製作・放送されました。日本チャップリン協会が監修を務めています。

サイレント映画に新たな息吹を吹き込んだ日本語吹替版で、チャップリンの世界をより身近に感じてみてはいかがでしょうか。

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