なきぼくろ (漫画家)

なきぼくろは、1985年10月に日本の大阪府枚方市で生まれた漫画家である。

その経歴において特に注目されるのは、高校時代を過ごしたPL学園である。全国でも指折りの野球強豪校として知られる同校の野球部に、49期生として入学した。入部当初は捕手としてプレーしていたが、在学中にポジションを外野手へと転向。最終学年では、9番右翼手として夏の甲子園大会に出場し、全国の舞台を経験している。PL学園野球部では、その後のプロ野球界で活躍する多くの選手たちと時間を共にした。元千葉ロッテマリーンズ、東北楽天ゴールデンイーグルスの今江敏晃氏や、元阪神タイガースの桜井広大氏は2学年上の先輩にあたり、元広島東洋カープ、千葉ロッテマリーンズの小窪哲也氏は同じくプロ野球選手となった同期生である。厳しい環境で切磋琢磨した経験は、後の創作活動に大きな影響を与えることとなる。

高校卒業後、なきぼくろは美術の専門学校に進学する。大阪美術専門学校で学び、2006年に卒業。専門学校在学中からイラストレーターとしての活動を開始しており、卒業後もイラストレーション関連の仕事に携わっていた期間がある。イラストレーターとしてキャリアを積む中で、漫画制作への関心を深めていったと考えられる。

漫画家としてのデビューは、投稿作品が評価されたことによる。彼が描いた作品『どるらんせ』は、漫画新人賞である第34回MANGA OPENにおいて、ebookJapan賞と奨励賞をダブル受賞するという栄誉に輝いた。この受賞がきっかけとなり、漫画家としての道を本格的に歩み始めることとなる。

デビュー後、次なる展開を迎える。講談社が運営するウェブ・デジタル漫画媒体『Dモーニング』に掲載された作品『バトルスタディーズ』が、読者からの熱烈な支持を獲得する。この好評ぶりが認められ、週刊漫画雑誌『モーニング』での連載が決定。2015年第6号より連載が開始され、現在も継続して人気を博している。単行本であるモーニングKCレーベルからは既刊44巻（情報は掲載時のもの）が刊行されており、長期にわたるヒット作となっている。

代表作である『バトルスタディーズ』は、自身のPL学園野球部での実体験をベースに描かれている点が最大の特徴である。名門校における徹底的な規律、上下関係、寮生活、そして部員たちの間に生まれる友情や葛藤が、ときに生々しく、ときにユーモラスに描かれている。単に野球の技術や試合展開を描くだけでなく、高校球児たちの内面や成長過程に深く切り込んでおり、スポーツ漫画でありながら、優れた青春ドラマとしての側面も持つ。自身の経験に基づくからこそのリアリティと、登場人物たちの感情の機微を丁寧に描写する筆致が、多くの読者を惹きつけている。

このように、なきぼくろは、野球というスポーツのトップレベルでの経験と、美術・イラストレーション分野での素養を併せ持つ、類稀なキャリアを持つ漫画家である。その独自の視点から生み出される作品は、今後も多くの読者に感銘を与え続けるだろう。

活動状況については、X（旧Twitter）アカウント（@nakibokuro44）を通じて、作品や日常に関する情報発信を行っている。

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