なくもんか

なくもんか (2009年の映画)

『なくもんか』は、2009年11月14日に公開された日本の人情コメディ映画です。「これは”泣ける喜劇”か”笑える悲劇”か!?」というキャッチコピーが示すように、笑いと涙が入り混じる温かい物語が展開されます。

あらすじ

物語の舞台は、東京の下町にある「善人通り商店街」。

行列のできる惣菜店「デリカの山ちゃん」の二代目・祐太は、究極の八方美人。商店街の人々の頼み事を快く引き受ける、親切な男です。

実は祐太は、8歳の時に父親に連れられ「デリカの山ちゃん」に預けられ、その後父親は失踪。店主夫婦に育てられた過去を持ちます。その恩返しのため、一生懸命働き、店を切り盛りしていました。商店街の人々からも愛され、頼られる存在となっていきます。

そんなある日、10数年前に家を出た店主夫婦の一人娘・徹子が帰ってきます。昔とは見違えるほど美しくなった徹子は、シングルマザーとして子供を連れていました。祐太はすぐに徹子にプロポーズし、二人は結婚することになります。

結婚を機に、祐太は自身の出生の秘密を知ります。両親が離婚していなかったこと、そして人気お笑い芸人「金城ブラザーズ」の祐介が実の弟であることを知るのです。しかし、祐介は過去を隠しており、兄の存在を素直に喜べません。さらに、祐太は過去の出来事から、空き巣の疑いをかけられてしまい、商店街の人々からも疑念の目を向けられるようになります。

そんな中、失踪していた父親が突然現れ、祐介の秘密を週刊誌に売って姿を消します。「金城ブラザーズ」は兄弟詐称疑惑で謹慎処分に。さらに、徹子の不倫相手が子供たちの父親であったという事実も発覚し、物語は思わぬ方向へと進んでいきます。

様々な困難に直面しながらも、家族や周囲の人々との絆を深めていく祐太。彼は、オカマの姿でバーで働くことでストレスを発散していましたが、弟のピンチを救うため、その姿で舞台に立ちます。そして、家族は互いの過去を受け入れ、新たな一歩を踏み出すことを決意します。

下町の「デリカの山ちゃん」は、これからも人々の笑顔と温かさで溢れていくでしょう。

キャスト

下井草祐太：阿部サダヲ
金城祐介：瑛太
徹子：竹内結子
金城大介：塚本高史
トシちゃん：皆川猿時
みどり：片桐はいり
下井草祐子：鈴木砂羽
山岸正徳：カンニング竹山
静花：山口愛
徹平：谷端奏人
山岸安江：いしだあゆみ
下井草健太：伊原剛志

スタッフ

監督：水田伸生
脚本：宮藤官九郎
音楽：岩代太郎
主題歌：いきものがかり「なくもんか」

制作の裏側

舞台となる善人通り商店街は、東宝スタジオに作られた巨大なセットです。武蔵小山、戸越銀座、砂町銀座、横浜六角橋など、都内や近郊の様々な商店街を参考に、理想の商店街が作り上げられました。また、出演者の出演料未払い問題や、東日本大震災の影響で放送が延期された経緯など、公開までの道のりには様々な困難がありました。

映画の魅力

『なくもんか』は、家族の絆や人情の温かさを描いた、心温まる作品です。阿部サダヲをはじめとするキャスト陣の熱演、宮藤官九郎によるユーモア溢れる脚本、そして水田伸生監督の演出が光ります。笑いと涙、そして感動が詰まった本作は、観る人の心を優しく包み込み、明日への活力を与えてくれるでしょう。

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