なつかしい場面

「なつかしい場面」は、昭和を代表する歌手、美空ひばりが1976年11月10日にリリースしたシングルです。この楽曲は、前作「あやとり」に引き続き、作詞を阿久悠が手掛けた作品として知られています。しかし、この作品以降、阿久悠が美空ひばりに楽曲を提供するのは、1988年のアルバム「不死鳥」に収録された「人/花蕾」まで途絶えることとなります。

阿久悠は、「あやとり」の発売後にパーティー会場で初めて美空ひばりと対面したとされています。この「なつかしい場面」は、その初対面後に制作された作品です。同世代である二人ですが、阿久悠にとって美空ひばりは、少年時代から天才少女歌手として一世を風靡していた特別な存在でした。阿久悠は当時から彼女を強く意識し、畏敬の念を抱いていたと言います。

阿久悠は自ら定めた「作詞家憲法」の第一条で、「美空ひばりによって完成したと思える流行歌の本道と、違う道はないものであろうか。」と記しています。この言葉からも、阿久悠が美空ひばりの楽曲とは異なる方向性を模索していたことが窺えます。「作詞家憲法」は、阿久悠の母校である明治大学駿河台キャンパスの「阿久悠記念館」で展示されており、彼の作詞家としての信念を今に伝えています。

「なつかしい場面」の収録曲は、以下の2曲です。

1. なつかしい場面
2. 恋夜曲

両曲ともに、作詞は阿久悠、作曲は杉本真人、編曲は小谷充が担当しています。1977年の音楽シーンを語る上で欠かせない一曲であり、美空ひばりと阿久悠という二人の才能が結実した貴重な作品と言えるでしょう。

この楽曲は、美空ひばりの卓越した歌唱力と、阿久悠の繊細な歌詞が見事に融合した作品として、多くの音楽ファンに愛されています。また、阿久悠が美空ひばりに対して抱いていた特別な感情が込められているという点でも、非常に興味深い楽曲です。

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