なんば花月

なんば花月の歴史と役割の解説

なんば花月（なんばかげつ）は、かつて大阪市内に位置していた吉本興業が運営する演芸専用の劇場です。吉本興業の代表的な劇場であるなんばグランド花月（NGK）の前身となる劇場で、多くの漫才や新喜劇が上演されました。なんば花月は南海通りに面しており、1946年に「千日前グランド劇場」として再オープンし、1963年には「なんば花月劇場」として新たなスタートを切りました。

概要

第二次世界大戦後の吉本興業は、京都や梅田にある劇場とともに、なんば花月を演芸の拠点として活用しました。しかし、1987年11月に新しいなんばグランド花月がオープンし、その後も併用されるものの、老朽化が進み1988年5月31日に閉館することとなります。閉館後、跡地には1990年3月にスイング吉本ビルが建設されました。

歴史の足跡

1939年、なんば花月の原形となる「大阪花月劇場」が開場し、その後様々な形態を経て、1946年には再オープンしました。その後、吉本新喜劇など多様なパフォーマンスが上演され、特に1963年からの「なんば花月劇場」としての活動は、昼夜の公演が行われるなど、多くの人々に楽しまれました。

劇場の収容人数は約千人で、特に1980年代の漫才ブームでは、観客が溢れ、楽屋や舞台袖にまで詰め掛ける光景が見られることもありました。また、出入口が一か所しかなかったため、芸人と観客が同じ場所を通ることで、観客は出待ちを楽しむ文化も形成されていました。

公演の形式と内容

なんば花月では、毎月の公演が上席、中席、下席の3つの期間に分かれて開催され、原則として1日2回の公演が行われました。特に日曜や祝日、ゴールデンウィークなどの繁忙期には、3回の公演が行われることもありました。なお、出演者は基本的に同一であったため、公演を重複して見ることができるのが特徴でした。

公演内容は、主に若手の漫才や落語が中心であり、「ポケットミュージカルス」という中入りの演目が存在しました。この演目は、コントと歌を融合させたバラエティショーで、多くの観客に親しまれていました。

特徴的な運営スタイル

なんば花月の運営は、吉本興業によって行われ、東京の寄席のように噺家の前座は存在しませんでした。また、舞台セッティングなどもすべて進行係が担っていました。落語の際には、ライブ演奏ではなくテープで下座音楽を流し、大きな落語用の台を用いるスタイルが採用されていました。

主な出演者たち

なんば花月には、多くの著名な芸人や演者が出演していました。漫才コンビでは、ダウンタウン、紳助・竜介、オール阪神・巨人などが名を連ね、落語家では桂小文枝や笑福亭仁鶴、月亭可朝などが活躍しました。演目によっては、演者のバラエティに富んだ表現が観客を魅了しました。

このように、なんば花月は大阪の演芸文化において重要な役割を果たした劇場であり、今なお多くのファンにその記憶が残っています。

もう一度検索