ねこの看護師 ラディ

『ねこの看護師 ラディ』

『ねこの看護師 ラディ』は、2016年5月31日に講談社から発表された絵本で、作者は渕上サトリーノ、イラストは上杉忠弘によるものです。この作品は、ポーランドの動物保護シェルターでの黒猫の実話を元にし、多くの子供たちに愛と感動を伝える物語となっています。

背景

物語の主人公は、ペットとして飼われていた黒猫の「ラディ」。彼は、過酷な環境で飼い主から虐待を受け、2015年には瀕死の状態に陥りました。そんな彼を救ったのは、ポーランドの地方都市ブィドゴシュチュにある動物保護施設での運命的な出会いです。この施設で、ラディは担当医師から見放されるほどの重症だったにもかかわらず、奇跡的に回復し始めるのです。

ラディが保護された後、彼は一時的に施設内で飼育されることになりました。その中で、他の保護動物たちの看護をする姿が見られたことで、彼の存在が周囲に好影響を与えることが判明しました。ラディの行動は、保護動物たちの人間への不信感を和らげ、心を落ち着かせる助けとなったのです。こうした彼の活躍は、メディアでも大きく取り上げられ、さらに多くの人々に知られることとなりました。

ラディは、当時ポーランドで人気を博していたテレビシリーズに登場する猫と同じ名前で呼ばれており、それがきっかけで「ラディ」という愛称がつけられました。そして、彼は今も元気に暮らしています。

作品の特徴

本作は、実話に基づいて描かれており、動物保護施設の支援のために作られたものです。また、この作品は欧州全域にわたる動物保護活動の一環としても位置づけられています。著名なイラストレーターの上杉忠弘にとっては初の国内絵本の発表となり、彼の作品はフランス語、中国語、スペイン語など、さまざまな言語に翻訳され、世界中に広がっています。

上杉は、過去にデンマークで作品を出版しており、映画『コララインとボタンの魔女』ではコンセプトアートを担当しました。さらに、彼は第37回アニー賞において最優秀美術賞を受賞しており、これが日本人として初の快挙となりました。現在、彼は次のシリーズの執筆にも取り組んでいるとのことです。

キャラクター

この絵本には、ラディ以外にも印象深いキャラクターが登場します。彼を見つけて保護施設に運んでくれた少年が、その一人です。少年は、空き地で瀕死の状態のラディを発見し、救うために奔走しました。彼の善意と勇気は、ラディの命を救い、物語の展開において重要な役割を果たします。

まとめ

『ねこの看護師 ラディ』は、愛らしい猫の物語を通じて、動物への理解や保護の大切さを子供たちに伝えています。ラディの由来や彼が体験した辛い過去は、読者に深い感動を与え、何気ない日常の中にも奇跡を起こす力があることを教えてくれます。彼を囲む人々の優しさや絆も描かれており、心温まるストーリーとして多くの読者に愛されています。

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