はくちょう (人工衛星)とは？意味をやさしく解説

はくちょう（CORSA-b）

はくちょうは、日本が初めて打ち上げたX線天文衛星であり、1979年 2月21日に鹿児島の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。この衛星の開発と製造は日本電気が担当し、宇宙航空研究所（現在の宇宙航空研究開発機構）がその運用に関与しました。命名は、著名なX線源が存在するはくちょう座に由来しています。

背景と目的

はくちょうは、1976年に打ち上げられたX線天文衛星CORSAの失敗を受けて、再開発されたものです。CORSAの打ち上げ失敗日、すなわちその日のうちにメーカーから再開発の提案があり、新しい衛星の開発が始まりました。この迅速な計画は、わずか3年後には打ち上げという成果をもたらします。

主な軌道は、近地点545km、遠地点577kmの略円軌道であり、その運用は1985年4月15日に地球の大気圏に突入することで終了しました。

はくちょうの主な任務には、X線バーストの観測、新しいX線源の出現監視、及びそのスペクトルや強度変化の観測が含まれます。この衛星は同時に稼働していた他のX線天文衛星、たとえばアインシュタイン衛星（1978年-1981年）や、てんま（1983年-1985年）と共に、宇宙におけるX線観測の可能性を広げました。

観測装置

はくちょうには、3つの主要なX線測定装置が搭載されていました。

- 超軟X線測定器 (VSX): 0.1-1.0 keV範囲のX線を観測
- 軟X線測定器 (SFX): 1.5 - 30.0 keVのX線を観測
- 硬X線測定器 (HDX): 10 - 100 keVのX線を観測

これらの装置により、多様なエネルギー範囲におけるX線の観測が可能となり、様々な科学的データを収集しました。

主な成果

はくちょうが上げた主要な成果には、新しいX線バースト源の検出や、パルサーの周期変化の異常観測があります。また、この衛星はラピッドバースターを発見することに成功し、X線天文学の発展に寄与しました。

CORSAとの違い

はくちょうは、前の衛星CORSAの設計を引き継ぎつつも、いくつかの改善が施されています。アメリカのSAS-3衛星によって特定されたX線バースト源の位置精度を向上させるために新しいX線検出装置が追加されましたが、重粒子線観測装置は取り外されました。また、観測データ収集のためにテープレコーダが搭載され、ニューテーションダンパの改良が行われました。

その他の情報

はくちょうはその開発段階で研究者らに「ぎんが」と呼ばれていましたが、プロジェクトリーダーである小田稔氏の要望により、「はくちょう」と名付けられました。「ぎんが」という名称は、その後打ち上げられたX線天文衛星ASTRO-Cに付けられることとなりました。

外部リンク

はくちょうの打ち上げと運用は、日本の宇宙科学における重要な一歩であり、X線天文学の発展に寄与しました。

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