はくちょう座P星

はくちょう座P星 (P Cygni)

はくちょう座P星は、はくちょう座の方向に位置する爆発型の変光星で、非常に明るい青色変光星として知られています。この星は、スペクトル分類がB1Ia+であり、銀河系内で最も光度の高い恒星の一つです。

観測的特徴

地球からの距離はおおよそ5,000光年から6,000光年となるため、特に暗い場所では肉眼でもその姿を確認することが可能です。実際、はくちょう座P星は16世紀末に突如として明るく輝きを放ち、3等星の明るさに達したことで知られるようになりました。初めて観測されたのは1600年8月18日、オランダの地図製作者ウィレム・ブラウによるもので、新星としてバイエル符号の「P」が与えられました。

観測開始から6年後には光が少しずつ弱まり、1626年頃には肉眼では認識できないほど暗くなりますが、1655年には再び明るさを取り戻します。その後も光度変化を繰り返し、1715年以降は比較的安定した5等星として知られています。その後数世代を経て、21世紀初頭には4.8等級で輝いており、短期間の不規則な変光を示すことが特徴です。

2018年8月には東京大学の研究チームによって、1600年の増光時に放出されたガスに起因する約2兆kmの衝撃波とともに、別の約7000万kmの衝撃波が存在するという発見がありました。この新たな衝撃波は、星からの定常的なガス放出によって形成されたと考えられています。

かつて、はくちょう座P星は「永遠の新星」との名が付けられていましたが、現代の研究により新星とは異なる天体であることが明確になりました。

星の進化

はくちょう座P星のような高光度青色変光星は非常に珍しく、彼らの寿命は比較的短命です。このような星は、活発な星形成が行われている地域でしか存在しません。これらの恒星は質量やエネルギーが特に大きく、例えば太陽の50倍の質量を持ち、光度は1万倍に達します。こうした星は、生成した水素を短期間で消費し尽くし、数百万年後には超新星として爆発します。2006年に観測された超新星SN 2006gyは、はくちょう座P星に似た高光度青色変光星の最後の姿であると考えられています。

はくちょう座P星の場合、主系列を離れたばかりで水素殻燃焼を起こしている段階にあり、将来的には赤色超巨星になり、最終的にはIIb型超新星としてその生涯を終えると期待されています。

P Cyg プロファイル

分光観測からは、単一のスペクトル线内に輝線と吸収線の両方が同時に観測されており、こうした特徴から膨張するガスが恒星の外層に存在することが示唆されています。輝線は恒星に近い高温の領域から放射されており、そのプロファイルはドップラー効果によって広がります。一方で、より遠方で形成される吸収線は、恒星の光を遮る形でのみ生じ、その方向に膨張するガスは観測者に向かって接近します。このため、この独特なプロファイルはP Cygプロファイルと名付けられ、様々な恒星風の研究において重要な役割を果たしています。

参考文献

• - P-CYGNI LINES
• - P Cyg - James B. Kaler
• - P Cygni - ウェイバックマシン

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