ばたばた茶

ばたばた茶とは

ばたばた茶は、富山県下新川郡朝日町で生産される独特な後発酵茶（黒茶）です。その名前は、2本の茶筅を使ってお茶を泡立てる際に、茶筅がぶつかり合う音に由来すると言われています。富山県北部や新潟県糸魚川地域で古くから飲まれており、地域の人々の生活に深く根ざしたお茶です。

ばたばた茶の製法

ばたばた茶の製法は、一般的なお茶とは大きく異なります。主な特徴は、以下の通りです。

1. 茶葉の収穫: 7月に2番[[茶]]を摘んだ後、9月に小枝をつけたまま伸びた茶葉を収穫します。以前は手摘みでしたが、現在は粗揉機を使用することが一般的です。
2. 蒸し: 収穫した茶葉を蒸します。かつては蒸篭を用いていましたが、現在は蒸製煎[[茶]]機械を使うのが一般的です。
3. 揉み: 蒸した茶葉を揉みます。
4. 発酵: 揉んだ茶葉を20〜24日間発酵させます。発酵中は茶葉の温度が60度まで上昇するため、切り返し作業を行います。煮汁をかけることはありません。
5. 乾燥: 発酵が終わった茶葉をむしろに広げ、3日ほど天日乾燥させます。

これらの工程を経て、独特の風味を持つばたばた茶が完成します。

ばたばた茶の歴史

かつては富山県でも広く栽培されていたと考えられていますが、気候条件が茶の栽培に適さなかったため、福井県からの供給に頼るようになりました。しかし、1976年に福井県での製造が途絶えたため、一時的に幻のお茶となりました。

その後、富山県射水市の荻原氏が福井県の製法を伝授され、栽培と製造を復活させました。これにより、現在では貴重な後発酵茶として、再び人々に親しまれています。

ばたばた茶の飲用と風習

ばたばた茶は、伝統的に五郎八茶碗という大きめの茶碗で点てて飲まれます。茶碗に少量の塩を入れ、2本の茶筅で泡立てるのが特徴です。この泡立てる際に、茶筅がぶつかり合う音が、ばたばた茶の名前の由来となりました。

富山県朝日町の蛭谷地区では、朝や昼の挨拶として「茶飲みにござい」という言葉が使われています。また、毎月27日の夜には「お待受」という茶会が催されていました。近年までは、地区に嫁が来た際に、親戚や隣近所に紅白の餅と黒茶1斤を配る風習がありました。

これらの風習は、ばたばた茶が地域社会において、単なる飲み物以上の重要な役割を果たしていたことを示しています。

ばたばた茶の現在

近年、ばたばた茶は、その独特な製法と歴史的背景から注目を集めています。観光客向けに体験会が開催されるなど、地域活性化の起爆剤としての期待も高まっています。伝統的な製法を守りながら、現代のニーズに合わせた新しい楽しみ方の提案も始まっています。

まとめ

ばたばた茶は、富山県朝日町で育まれた独特な後発酵茶です。その製法は手間がかかり、歴史的背景も興味深いものがあります。また、地域に根差した飲み方や風習も、このお茶の魅力を語る上で欠かせない要素です。ばたばた茶は、単なるお茶としてだけでなく、地域の文化や歴史を伝える重要な役割を担っています。

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