ひがし北海道クレインズ

ひがし北海道クレインズは、北海道釧路市を拠点として活動していたプロアイスホッケーチームです。ホームスタジアムは釧路アイスアリーナ。

その歴史は古く、1949年に十條製紙釧路工場の実業団チーム「十條製紙アイスホッケー部」として創部されました。その後、親会社の合併に伴い1993年には「日本製紙クレインズ」に名称を変更。アジアリーグアイスホッケー創設時から加盟し、日本国内リーグや全日本選手権を含め、多くのタイトルを獲得しました。2019年には完全クラブチーム化し、「ひがし北海道クレインズ」として再出発しましたが、運営上の問題を抱え、2022-2023シーズン終了をもって選手・スタッフ全員がチームを離れ、活動を休止するに至りました。

歴史

実業団チームとして

1949年、十條製紙釧路アイスホッケー部として産声を上げました。1974年には日本アイスホッケーリーグに加盟し、国内トップリーグでの戦いを開始。ホームリンクとして十條アイススケートセンター（1975年）、春採アイスアリーナ（1983年より併用）、釧路アリーナ（1997年より単独使用）を使用しました。加盟16年目となる1989年には日本リーグで初のAクラス（3位）入りを果たし、1990年の全日本選手権では初の決勝進出（準優勝）を果たすなど、徐々に国内での地位を確立していきました。

日本製紙クレインズ時代

1993年、親会社の日本製紙への社名変更に伴い、チーム名も日本製紙クレインズに変更されました。この時代にチームは黄金期を迎えます。2004年にアジアリーグアイスホッケーが誕生すると、その初代チャンピオンに輝きました。その後もアジアリーグで計4回、全日本アイスホッケー選手権大会では計7回の優勝を飾り、日本を代表する強豪チームとしての地位を不動のものとしました。特に全日本選手権では、2010年から2013年にかけて4連覇を達成するなど、圧倒的な強さを見せました。しかし、親会社の意向により2018年12月に廃部が公表され、2018-2019シーズンをもって日本製紙クレインズとしての活動は終了しました。この最後のシーズン、チームはアジアリーグでレギュラーリーグ4位からプレーオフを勝ち上がり決勝に進出しましたが、惜しくも準優勝に終わりました。

ひがし北海道クレインズ時代と活動休止

日本製紙クレインズの廃部決定を受け、チームの存続を目指す動きが起こりました。札幌市の企業が受け皿となり、2019年3月には運営会社「東北海道アイスホッケークラブ合同会社」が設立されます。同年5月には名称を「ひがし北海道クレインズ」に変更し、地域ブランド「ひがし北海道」との連携強化を目指す方針を打ち出しました。運営体制も合同会社から株式会社へと変更し、地域貢献も掲げ、完全クラブチームとしてアジアリーグに参戦を継続。監督にラトビアからアルディス・ギルゲンソンスを招聘するなど、新たなスタートを切りました。全日本選手権では2020年、2021年と連覇を達成するなど、一定の強さは維持しました。

しかし、このクラブチーム化以降、運営上の問題が表面化します。2022年オフには監督や中心選手が退団。2023年に入ると給与遅配が常態化し、同年5月には所属全選手と監督が契約しない意向を表明する事態となりました。これを受け、当時の監督らが新チーム「北海道ワイルズ」の設立とアジアリーグ加盟を嘆願しましたが、運営会社の財務問題（債務超過、ふるさと納税の差し押さえなど）が明らかになり、選手が運営会社の破産を申し立てるまでに至りました（後に棄却）。職員の大量退職や釧路市との連携協定解除など混乱が続きました。最終的に、アジアリーグは2023年7月にクレインズの2023-2024シーズンの出場資格停止を発表。新チームの加盟も認められず、同シーズンにおける釧路からのプロチーム参戦は叶いませんでした。クレインズは2023年11月30日にアジアリーグから脱退し、活動休止状態となりました。

活動休止後も、釧路からはアジアリーグ参戦を目指す新組織設立の動きが報じられています。2024年6月には、ホームリンクである釧路アイスアリーナからクレインズのロゴマークが撤去されるなど、チームの終焉を象徴する出来事がありました。

チーム名の由来

愛称の「クレインズ」（鶴）は、チームの拠点である釧路平野に生息し、特別天然記念物でもあるタンチョウヅルに由来しています。

主な獲得タイトル

アジアリーグアイスホッケー優勝 (4回):
2003-2004シーズン (初代王者)
2006-2007シーズン
2008-2009シーズン
2013-2014シーズン
全日本アイスホッケー選手権大会優勝 (9回):
2006年
2007年
2010年
2011年
2012年 (4連覇の2回目)
2013年 (4連覇の4回目)
2015年
2020年
2021年

過去に在籍した著名な外国人選手（一部）

ジョエルディック
アレンコンロイ
ロブドプソン
ダーシミタニ
クリスリンドバーグ (NHL経験者)
デレクプラント (NHL経験者)
ユールクリス
マイクラジャー (NHL経験者、タイトル獲得者)
アダムミラー (NHL経験者)
* リックジャックマン (NHL経験者)

※太字はNHL経験者。当時のタイトル獲得者も含む。

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