ひきこさん

ひきこさん：日本の都市伝説を紐解く

『ひきこさん』は、日本に伝わる都市伝説の一つです。雨の日、白いぼろぼろの着物を着た女性が、人形のようなものを引きずっているというものです。しかし、近づいてよく見ると、その人形は小学生ほどの子供であり、女性の目はつり上がり、口は耳元まで裂けています。女性は目撃した子供を捕まえ、肉塊になるまで引きずり回し、決まった場所に放置するという、残虐な物語です。

この都市伝説には、いくつかのバリエーションが存在します。女性は、かつては背が高く、成績優秀で、顔も可愛く、心優しく、先生にも可愛がられていた少女だったと伝えられています。しかし、激しいいじめや両親からの虐待を受けた結果、引きこもりの生活を送るようになり、やがて怪異化したというのです。あるいは、自ら、もしくは両親によって軟禁され、ひきこもりになった末に、怪異へと変貌したという説もあります。

さらに、ひきこさんは自宅に殺害した子供たちの遺体をコレクションしているという恐ろしい噂も存在します。ひきこさんの本名は「森妃姫子」という説もあり、「引き子」から「ひきこ」への読み替え、そして姓名を逆にすると「ひきこもり」となるという、興味深い連鎖が指摘されています。

この都市伝説の背景には、現代社会における「ひきこもり」に対する偏見や、いじめ問題、虐待問題といった社会問題が潜んでいるとも考えられます。ひきこさんの存在は、それらの問題に対する社会の不安や恐怖を反映しているのかもしれません。

ひきこさんに関する噂の中には、いくつかの「対処法」も伝えられています。

いじめられた子供と同じ名前の子は襲われない。また、いじめられっ子も襲われないという説があります。具体的な名前は不明です。
ひきこさんは自分の顔の醜さを嫌っており、鏡を見ることを避けているため、鏡を見せれば退散するという説があります。
* 「私の顔は醜いか」と尋ねてきたら、「引っ張るぞ！引っ張るぞ！」と叫ぶと退散するという、奇妙な対処法も伝えられています。

『ひきこさん』は、2008年にTMCによって映画化され、『ひきこさん』というタイトルでOVAとしてリリースされました。その後も、『真ひきこさん』、『エクスリベンジャーズ ひきこさん ミ・ナ・ゴ・ロ・シ』など、多くの関連作品が制作されています。さらに、他の都市伝説のキャラクターとのコラボ作品も制作されており、その人気を伺い知ることができます。

2019年には、人気アニメ『モブサイコ100』の第2期第2話において、ひきこさんをモデルにしたキャラクター「おひきさん」が登場しました。このことは、『ひきこさん』という都市伝説が、現代のポップカルチャーにおいても依然として影響力を持っていることを示しています。

『ひきこさん』は、単なる都市伝説としてだけでなく、現代社会が抱える闇を反映した、複雑で興味深い存在と言えるでしょう。その恐ろしい物語は、私たちに、いじめや虐待といった社会問題について、改めて考えさせる機会を与えてくれます。

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