ひくまの出版

ひくまの出版は、1978年に那須田敏子によって創業された出版社です。本社は静岡県浜松市中央区舞阪町弁天島に位置していました。児童向けの絵本、童話、少年少女文学、子供に関連するノンフィクションなどを出版していました。

社名の由来は、絵本に登場する「ヒグマ」ではなく、この地域の古名である「曳馬野」からきています。「曳馬野」は万葉集にも詠まれており、古くからこの地域を指す言葉として用いられていました。

ひくまの出版は、「忍者サノスケじいさんわくわく旅日記」シリーズや「さと子の日記」などのベストセラー作品を輩出し、地元では高い知名度を誇りました。「さと子の日記」は100万部を超える大ヒットとなり、出版社の経営を支えました。ピーク時には年間の売上高が約1億3,000万円に達するなど、地方出版社としては成功を収めていました。

しかし、少子化の進行、メディアの多様化、公共予算の縮小といった社会的な変化に対応しきれず、売り上げは徐々に減少していきました。2014年4月7日、静岡地方裁判所浜松支部から破産手続開始の決定を受け、倒産しました。

ひくまの出版は、地方の文化を大切にし、子供たちのための出版活動に尽力した出版社でした。その功績は、出版された書籍を通じて、今もなお人々に語り継がれています。

関連情報

さと子の日記: ひくまの出版から出版され、100万部を超えるベストセラーとなった作品。
曳馬野: 浜松市を含む地域の古名。万葉集にも歌われている。

ひくまの出版は、短い期間ではありましたが、地域に根ざした出版活動を通じて、多くの子供たちに夢と希望を与えました。その歴史は、日本の出版文化の一つの側面を示すものとして記憶されるでしょう。

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