ひだか型巡視船

ひだか型巡視船

ひだか型巡視船は、海上保安庁が運用する小型巡視船の船級です。PS（Patrol vessel Small）型に分類され、公称船型は130トン型です。1950年代、水深が浅く狭い港湾での巡視活動において、既存の巡視船では運用に困難が生じていました。既存の270トン型巡視船は大きすぎ、23メートル型PCは荒天時に活動が困難でした。この課題を解決するため、狭小な港湾でも運用でき、かつ、悪天候にも耐えうる優れた耐航性を備えた小型巡視船として開発されました。

設計と特徴

ひだか型巡視船は、高い耐航性を確保するため、船体のフレーム形状を角型にするなど、堅牢な構造となっています。また、小規模な港湾への配備を前提として、保守・整備が容易な機関を採用しました。主機関には、350トン型巡視船と同じ池貝鉄工6MSB31S中速ディーゼルエンジンを1基搭載し、スクリュープロペラ1軸を駆動するシンプルな方式です。これは、現地での保守・整備の容易さを重視した設計思想に基づいています。

4番船以降の建造艦からは、主機関の遠隔操縦機能が追加され、運用効率の向上が図られました。さらに6番船には、化学消防機能が搭載され、推進器も可変ピッチ・プロペラに変更されるなど、機能の高度化も進められました。一部の船には、12.7mm単装機銃が搭載されており、警備能力の強化も図られていました。特に11番船「くらま」は、海上保安学校の練習船も兼務していました。

運用と役割

ひだか型巡視船は、主に港湾部や沿岸域での巡視活動、警備活動、救難活動などに従事しました。その小型で機動力に優れた船型は、狭小な港湾や複雑な地形での運用に適しており、沿岸警備の重要な役割を担っていました。また、化学消防機能を搭載した船舶は、化学物質の流出事故などへの対応能力も備えていました。ひだか型巡視船は、日本の沿岸警備体制において、重要な役割を果たした小型巡視船として知られています。

同型船一覧

まとめ

ひだか型巡視船は、日本の沿岸警備の近代化に貢献した重要な船級です。その設計思想、搭載機器、運用実績などから、当時の海上保安庁の技術力や、沿岸警備に関する課題と取り組みを学ぶことができます。小型ながら高い耐航性と汎用性を備えた本型巡視船は、日本の海上保安史において重要な一ページを刻みました。

参考文献

(参考文献を追記してください)

もう一度検索