ひとりっ子 (テレビドラマ)

『ひとりっ子』の歴史とあらすじ

『ひとりっ子』は、1962年にTBS系列の『東芝日曜劇場』として制作され、一度は放送される予定でした。しかし、スポンサーであった東芝の意向により、放送は中止となりました。放映されなかったにもかかわらず、本作は第1回のラジオ・テレビ記者会賞において特別賞を受賞し、作品の評価は高まりました。その後、この作品は舞台劇や映画としてもリメイクされ、幅広いメディアで受け継がれています。

テレビドラマの運命

『ひとりっ子』の完全版はRKB毎日放送によって廃棄されたため、現在は存在していません。しかし、完成に近いバージョンは保存されており、DVDを利用した上映会が各地で行われることもあります。これは、多くの人々がこの作品に対して持ち続ける関心を示しています。

舞台劇と映画版

1963年から1964年にかけて、関西芸術座が本作を舞台劇として脚色し、公演を行いました。その結果、大阪府民劇場奨励賞を受賞するなど、舞台としても成功を収めました。さらに、1969年には映画版が制作され、原作で脚本を担当した家城巳代治が監督を務めました。この映画では、テレビドラマ版の主演である山本圭の弟、山本亘が主演することになりました。

あらすじ

物語は熊本市を舞台に進行し、登場人物たちは熊本弁で会話を繰り広げます。主人公の長沼新二は工学部への進学を目指す高校生です。彼は農家の次男として育てられ、兄は戦死し、ひとりっ子としての暮らしを送ってきました。父・大介は戦時中に陸軍報道班員だった経歴を持ち、新二に防衛大学校の受験を勧めます。新二は初めはその提案を軽く受け流すものの、力試しを兼ねて受験をしたところ、1次試験に合格します。

父や周囲の人々の期待もあり、新二は防大への進学を真剣に考え始めます。しかし、母・とみや、戦争で両親を失ったガールフレンドの京子は防大への進学に強く反対します。新二はその板挟みの中で悩み、自らが望む未来を模索し始めます。最終的には防大への進学を選ばず、働きながら学ぶ道を選ぶことに決めます。この選択は、彼にとっての成長と自己を見つめ直す重要な瞬間となります。

キャスト

本作のキャストには長沼新二を演じた山本圭、父・大介役の加藤嘉、母・とみを演じた望月優子、ガールフレンドの京子役の佐藤オリエなど、多彩な俳優陣が名を連ねています。これらのキャストによる演技が、この物語の深みを増していることは間違いありません。特に、登場人物たちの人間関係と心の葛藤が、観る者に強い印象を与えています。

『ひとりっ子』は、時代を超えて愛され続ける作品であり、その根底にあるテーマは、家族の絆や成長、選択の重要性です。

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