ひまわり (女装雑誌)

アマチュア女装雑誌「ひまわり」： 女装文化を彩った一冊

「ひまわり」は、1983年から2005年まで雄美社（第1号のみ夢工房）より発行されていたアマチュア女装雑誌です。女装誌の先駆け的存在である「くいーん」誌ではカバーしきれない多様なニーズに応えるべく創刊されました。当初はB5判白黒20ページの非売品でしたが、徐々にカラー化が進み、A5判へとサイズ変更。市販されるようになり、広く愛される雑誌へと成長を遂げました。

内容の変遷と充実

初期は女装者からの投稿写真や文章が中心でしたが、雑誌が進化するにつれ、内容は大きく変化しました。特に人気を博したのが、誌面上で展開された仮想女子校「向日葵学園女子高等学校」です。制服姿の女装者による写真や企画は、読者から大きな支持を受けました。 さらに、「超C級女装講座」といった実践的な内容の記事や、名古屋支局長である田中葉月氏による読み物、漫画、小説などが掲載され、多角的なアプローチで女装文化の魅力を伝えていました。「くいーん」と双璧をなす存在として、多くの女装愛好家に親しまれました。

販売ルートと廃刊

「ひまわり」は「くいーん」同様、一般的な書籍取次ルートではなく、成人向け書店やアダルトショップなどを主な販売ルートとしていました。この点が、雑誌の存続に大きな影響を与えました。インターネットの普及や、主要な販売ルートであったアダルトショップの地方における衰退は、「ひまわり」にとって大きな逆風となりました。北斗出版の「ニューハーフ倶楽部」との提携も模索されましたが、販路縮小を食い止めることができず、2005年第76号をもって廃刊という決断に至りました。

「向日葵学園女子高等学校」：誌面から現実世界へ

「向日葵学園女子高等学校」は、「ひまわり」を代表する人気企画です。女子高生の制服を着た女装者たちが中心となり、誌面を彩りました。 さらに、年数回「制服の集い」と称したイベントを開催。女子高生制服姿の女装者たちが街へ繰り出すこのイベントは、現実世界と誌面世界を繋ぐ重要な役割を果たしました。「ひまわり」の廃刊後も、同人サークル名やSNSコミュニティとして、その活動は継続されています。

「くいーん」との関係性

「ひまわり」と競合関係にあった「くいーん」との間には、写真投稿や話題に関する制限があったという噂が存在します。しかし、実際には「ひまわり」の編集長キャンディ・ミルキィ氏と「くいーん」の編集者である石川みどり氏の間には友好関係があり、両誌の発行誌の交換も行われていたという事実から、噂は事実と異なる可能性が高いです。

バックナンバー一覧（抜粋）

以下に、いくつかのバックナンバーの表紙と特集内容を抜粋して紹介します。

第76号（2005年8月）：表紙「七瀬玲那」、特集『レトロな校舎で撮影会』、 『東京エリア女装MAP』など
第75号（2005年6月）：表紙「富永弥緒」、特集『イタリア料理を楽しむ』、など
第72号（2004年12月）：表紙「天野アンリ」、特集『向日葵学園女子高等学校制服の集い』、 『新宿エリア女装地図』など
第69号（2004年6月）：表紙「山咲真由美」、特集『向日葵学園女子高等学校制服の集い』など
* 第1号（1983年1月）：表紙「キャンディ・ミルキィ」、特集『キャンディテレビ朝日冒険記』など

まとめ

「ひまわり」は、その時代の女装文化を反映し、多くの女装愛好家に支持された雑誌でした。販売ルートの変化という困難に直面しながらも、独自の企画や充実した内容で、女装文化発展に貢献しました。廃刊後も、その精神は「向日葵学園女子高等学校」という形で受け継がれ、現在も多くの人の記憶に刻まれています。 「ひまわり」は、単なる雑誌という枠を超え、一つの文化現象として、その存在感を示したと言えるでしょう。

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