ふたりの女王 メアリーとエリザベス

ふたりの女王 メアリーとエリザベス

『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』は、1561年に起こったスコットランド女王メアリー・スチュアートとイングランド女王エリザベス1世の対立を描いた、2018年のアメリカ・イギリス合作の歴史映画です。監督はジョージー・ルークが務め、主演にはシアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビーが名前を連ねています。本作は、ジョン・ガイの著書『Queen of Scots: The True Life of Mary Stuart』を原作としており、ルークにとって映画監督としてのデビュー作でもあります。

あらすじ

1561年、フランス王フランソワ2世の死を受けて、メアリー・スチュアートは故郷のスコットランドに帰国し、親政を始めました。彼女を支えるのは異母兄で摂政のマリ伯ジェームズや、忠実なボスウェル伯などの貴族たち。しかし、当時のスコットランドはすでにイングランド女王エリザベス1世の影響を受けており、メアリーは思うように再婚の道を進むことができずにいました。メアリーは周囲の期待に背いて、再婚を切望し続ける女性でありました。

メアリーはイングランドの王位を主張し、独身で後継者のないエリザベス女王との緊張関係に身を置くことになります。二人の女王は直接の面識はありませんでしたが、対立の中でそれぞれ独自の困難に立ち向かう姿は、女性同士としての共感を呼び起こします。さらに当時、イングランドでは、ヘンリー8世の離婚問題を端に持つ新教徒と旧教徒の対立が激化しており、その波はスコットランドにも影響を及ぼしていました。

メアリーはカトリック教徒でありつつも新教徒を受けれようとし、エリザベスは新教徒を支持する立場を取っていました。この複雑な政治状況の中で、メアリーはイングランドの貴族との縁談を通して自らの立場を強化しようとしますが、さらなる波乱が待っていました。

人間関係の葛藤

イングランド宮廷から逃れたスコットランドのレノックス伯マシューは、彼の息子ヘンリーをメアリーに引き合わせます。ヘンリーはスチュアート家とテューダー家の混血のため、メアリーにとっては理想的な結婚相手でした。彼は特に魅力的で、メアリーも彼を気に入りますが、二人の関係はすぐに陰りを見せます。ヘンリーは自らが王として遇されることを期待し、メアリーに対して圧力をかけます。しかしメアリーは、「子どもの誕生は愛よりも重要だ」と回答し、彼の期待に応えることはありませんでした。

この後、メアリーには様々な試練が待ち受けていました。ヘンリーとの結婚後、彼の不品行やメアリーの愛人リッチオに対する嫉妬が引き起こす騒動と、権力を巡るスリリングなバトルは、彼女の人生をさらに複雑にしていきます。

権力と裏切り

メアリーは次第に周囲の陰謀に巻き込まれ、やがて彼女の愛人リッチオが何者かによって殺される事件が発生します。ヘンリーは無理やりその凶行を強いられ、メアリーは自身の立場を守るために周囲との対立に直面します。結局、女王としての自覚や責任感から、彼女は自らの手で反乱を鎮圧する姿勢をとりますが、それがさらなる反発を生むことになります。

やがて、メアリーは子供を出産します。しかし、彼女の苦難は続き、他者の思惑によって彼女は幽閉され、エリザベスの庇護の下で過ごすことになります。そして、彼女の死刑判決が下されるまでの18年、メアリーは静かに自身の運命を受け入れなければなりませんでした。

結末と教訓

最終的に、メアリーは自身の息子が両国を治める未来を強く願いつつ、静かに処刑されることになります。一方、エリザベスは女王としての孤独な道を歩み続け、メアリーの死に涙を流すものの、彼女自身もまた厳しい現実に向き合わなければなりませんでした。この映画は、権力と女性の生きづらさをテーマに、その時代における女性たちの戦いを描き出しています。これらを通じて、観客は歴史の深い側面を垣間見ることができるでしょう。

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