ふるやのもり

ふるやのもり

『ふるやのもり』は、日本の昔話の一つであり、動物由来型民話に分類されます。この物語は、古屋の森やむりどんとも呼ばれています。ストーリーは、暮らす者たちの恐怖と不思議な出来事を通じて、さまざまな教訓を伝えています。

あらすじ

物語の舞台は、古びた一軒家が佇む村です。そこには、おじいさん、おばあさん、そしてその孫の三人が住んでいます。ある雨の夜、三人が床について静かに寝入ると、村の近くの山から狼がやってきて、自身の食事にしようと厩に忍び込みます。同時に、泥棒も天井の梁に潜んでいました。

若い孫が「この世で一番恐ろしいものは何ですか？」とおじいさんに尋ねると、おじいさんは「盗人よりも狼よりも、ふるやのもりが一番怖い」と答えました。その言葉を聞いた泥棒と狼は、どんな化け物かを想像し、恐怖で震え上がります。

雨がさらに強く降ってくると、部屋の中に雨漏りが始まります。すると、おじいさんが「ふるやのもりが出た！」と叫ぶと、泥棒は驚き、厩に潜む狼の上に落ちてしまいます。狼は自分に落ちてきたのが得体の知れない「ふるやのもり」だと思い、恐怖で全速力で逃げ出しました。一方、泥棒は狼にしがみついたままだったため、降りることができず、ただ「落ちたら食われてしまう」と恐れていました。

明け方になり、泥棒は「もりというのは狼のような形をしているな。逃げる場所があるか？」と考え始め、木の枝を見つけて飛び移ります。しかし、その木には大きな穴が開いており、泥棒は深い穴の底へと落ちてしまいます。

そのころ、狼は戻ってきた仲間の動物たち、すなわち熊、猿、キツネ、タヌキ、虎（猪）に、恐ろしい目に遭ったことを語ります。仲間たちは、この地域に不気味なものがうろついているとのことで、早急に「ふるやのもり」を探し始めることに決めました。

猿は自信過剰に「もりとは非常に恐ろしい存在だ」と語り、木に開いた穴が気になり始めます。猿は長い尻尾を穴に垂らすと、その下にいる泥棒はそれを蔓だと勘違いし、登ろうと試みます。驚いた猿は、自分が捕まってしまうかもしれないと感じて必死に尻尾を引っ込めますが、その結果尻尾が切れてしまい、顔がひどく傷ついてしまいました。

この出来事が起きた後、猿は尻尾が短く、顔が赤くなったままで過ごすこととなります。この恐怖の体験を知った他の動物たちは、怯えながら逃げ去り、中でも虎は逃げ続け、その結果、日本を離れ朝鮮にまで辿り着いてしまうことになりました。

特徴と伝承

「なぜ猿の顔が赤く、尻尾が短くなったのか」や「なぜ虎が日本ではなく朝鮮にいるのか」といった疑問が生まれるこの物語は、「由来譚Ⅱ（動物由来）」に分類されます。また、物語の解釈にはバリエーションも多く、虎が登場しないものや、泥棒が井戸の底に落ちるもの、さらには孫がいない老夫婦の会話のみの内容など、さまざまな形で語られています。

このように『ふるやのもり』は、日本の民話が持つ文化的な魅力を伝え、動物たちのふるまいを通じて教訓を与えています。

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