ふれあい広場・サンデー九

ふれあい広場・サンデー九：社会福祉に光を当てた9年間の軌跡

1976年10月3日から1985年9月29日まで、札幌テレビ (STV) にて放送された『ふれあい広場・サンデー九』は、社会福祉をテーマにした人気番組でした。毎週日曜午前9時からの30分間、司会を務めた坂本九氏の温かい人柄と、北海道の福祉現場への深い取材が視聴者の心を掴みました。全462回にわたる放送は、多くの人々に福祉への理解を深める機会を提供しました。

番組誕生のきっかけは、STVが1962年から1971年まで年末に開催していたチャリティー特別番組『グランドチャリティショー』です。坂本九氏は1963年の第2回から司会を務め、その活動を通じてSTVとの強い絆を育みました。この経験を基に、より本格的な福祉番組を制作しようという動きが生まれ、『ふれあい広場・サンデー九』が誕生しました。番組タイトルは、放送時間と坂本九氏の名前に由来しています。

当初は1年間の放送予定でしたが、坂本九氏の親しみやすいキャラクターと、福祉分野への真摯な姿勢が視聴者の共感を呼び、番組は9年間も続くロングラン番組となりました。平均視聴率は7～8%、最高時には10%を超える放送回もありました。番組には、障害者の方々からの喜びの声や、番組への寄付など、多くの反響が寄せられました。

坂本九氏は、月に2～3回北海道を訪れ、道内の福祉施設を積極的に取材。障害者の方々の生活を取り巻く問題や、喜びの声を丁寧に伝えていました。取材範囲は北海道内にとどまらず、日本国内だけでなく、北欧やオランダなど海外にも及びました。さらに、聴覚障害者の方々にも番組を楽しんでもらえるよう、全編にテロップを挿入し、生放送時には手話通訳も行われました。

番組は、北海道電力の一社提供によって支えられていました。テレビ番組以外にも、1978年には番組の名場面や関係者のコメントを集めた写真集『ふれあい』が発行されました。また、1982年には300回記念イベントとして「さっぽろ車イスマラソン」を開催するなど、多角的な展開も行われました。

1985年8月12日、日本航空123便墜落事故により坂本九氏が急逝。北海道での最後のロケは、7月29日に栗山町で行われた「ノビロ学園」のワークキャンプと、7月29～30日に蘭越町内の「ふれあいの里」で行われたキャンプでした。事故後、番組では「坂本九さんをしのぶ」と題した追悼企画を放送。9月まで収録済みの内容を放送し、9月23日にはSTVホールで坂本九氏とマネージャーの合同追悼式が開催されました。最終回は、これまでの番組内容の総集編と追悼イベントの様子を放送し、「あの笑顔あのふれ愛 九ちゃんありがとう」と題されました。

『ふれあい広場・サンデー九』は、坂本九氏の急逝によって幕を閉じましたが、その温かいメッセージと福祉への貢献は、多くの人々の記憶に刻まれています。2011年には、STVラジオで同名タイトルのラジオ番組が復活。社会福祉をテーマに、道内の福祉団体や事業所を紹介する番組として、2014年3月まで放送されました。坂本九氏の長女と次女、そして妻も不定期に出演し、番組は、テレビ版の精神を受け継いでいました。現在、北海道栗山町には坂本九思い出記念館があり、番組のロケの様子を再現したコーナーも設置されています。

番組の主題歌は、坂本九氏自身が歌った「何かいいことありそうな」でした。この曲は、番組の明るい雰囲気と、福祉への希望に満ちたメッセージを象徴する一曲となっています。番組のスタッフは、STVの上田豊氏(ディレクター)、佐々木逸郎氏(脚本・構成)などでした。

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