ふ・た・り

漫画『ふ・た・り』の概略

『ふ・た・り』は、北崎拓による恋愛漫画で、小学館の『週刊少年サンデー』で1992年から1993年にかけて連載されました。全6巻から成り立つこの作品は、二人の若者が微妙な感情と困難に立ち向かいながら成長していく姿を描いています。主な登場人物は、病弱な少女九条亜衣子と彼女に片思いする羽賀靖幸で、彼らの物語は、青春の葛藤や希望、愛を色濃く反映しています。

あらすじ

物語は、羽賀靖幸が九条亜衣子と同じ高校に進学するため、一生懸命に受験勉強をするところから始まります。周囲の友人から無謀とされるも、羽賀は一心不乱に勉強し、努力の甲斐あって名門校、東芦屋高校に合格します。入学後、毎朝亜衣子と一緒に登校する約束を交わしますが、卒業式の日、亜衣子は手紙を残して東京に向かうことになります。亜衣子の体調が優れず、主治医の元を訪れたくなった彼女は、羽賀に別れを告げる決断を下します。

羽賀は、亜衣子のもとへ駆けつけるものの、彼女に一度は冷たく突き放されてしまいます。しかし、亜衣子のいない高校生活に意味がないと感じた羽賀は、二人で東京に生活する選択をします。周囲の反対や彼自身の葛藤を経ながらも、彼は亜衣子のそばにいることを決意します。

亜衣子と羽賀の生活

東京での生活は波乱に満ちており、亜衣子は高校に通う一方で、羽賀も定職や学業を両立させる日々を送ります。次第に互いの生活が忙しくなる中で、二人の関係は徐々にぎこちなくなり、亜衣子はついに羽賀のもとを離れる決断をします。

一ヶ月後、亜衣子が羽賀のいる吉祥寺を訪ねる縁が生まれ、彼らの再会から物語は新たな展開を見せますが、トラブルに巻き込まれ、二人はアパートを追われることになるのです。

亜衣子の病気と羽賀の思い

亜衣子の病気が悪化し、彼女の過去の主治医である森本医師が登場します。羽賀は、副作用や彼女の病気についての不安と向き合わなければなりません。亜衣子は生きたいという強い気持ちと、彼女の健康状態に苦しむ羽賀にも変化が訪れます。

同棲を続ける中で、お互いのすれ違いや葛藤が生じ、再び亜衣子が発作を起こします。そんな中、二人の絆が試される展開が続きます。羽賀は、亜衣子を全力で支えたいと思う一方で、自身の無力感に悩まされることになります。

希望の光

物語は、最終的に羽賀と亜衣子がどれだけの試練を乗り越え、どれだけの愛を育んでいくのかを焦点に置いています。二人の生活は決して平穏なものではありませんが、最終的には互いを理解し合い、成長する姿が描かれ、読者に希望を与えてくれます。

数年後、かつてのアパートは新たなマンションに変わり、羽賀はかつての思い出を振り返るシーンで幕を閉じます。彼と亜衣子の関係は、困難を乗り越えて新たな一歩へと向かうのです。

『ふ・た・り』は、切なくも美しい恋愛物語であり、若者たちの心の成長を見守ることができます。読者に強い感情を呼び起こし、深い余韻を残す傑作です。

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