ほけんのせんせい

『ほけんのせんせい』は、谷村まりかによって描かれた日本の漫画作品で、『コミックガム』（ワニブックス）にて2011年1月号から2015年4月号まで連載されました。

この作品は、「中学校にこんな保健の先生がいたら」という作者の乙女的な妄想と、「女子中学生かわいい」という少し大人な妄想が融合した、ユニークな設定の漫画です。物語は、中学校に赴任してきた男性養護教諭が、思春期を迎えたばかりの少年少女たちの性の悩みを、時に真剣に、時にコミカルに解決していく様子を描いています。

作品の大きな特徴として、女の子の性に関する話題が中心に扱われている点が挙げられます。図解付きで説明されることもあり、女性の裸や下着、着替えシーンなどが描かれることもありますが、性教育の内容は非常に的確で分かりやすく、読者の理解を深める工夫が凝らされています。

あらすじ

主人公の佐倉木和紗は、「保健の先生」になることを夢見て、私立若葉羽中学校に赴任します。しかし、初日にして女子生徒である神崎あさひが下着を乾かしているところに遭遇し、彼女の下半身を見てしまうという波乱の幕開けを迎えます。痴漢と間違われながらも誤解を解き、憧れの保健の先生として勤務を開始した佐倉木。保健室には、あさひやその友人である袖浦七海、花香谷奏といった思春期真っただ中の少女たちが訪れ、それぞれの悩みを打ち明けていきます。

登場人物

主要人物

佐倉木和紗（さくらぎかずさ）
私立若葉羽中学校に赴任してきた男性養護教諭。生徒たちの健康を守ることに真摯な熱血漢ですが、デリカシーに欠ける一面も。若葉羽中学校の卒業生で、在学中に出会った養護教諭のひなた（あさひの母）に憧れて保健の先生を目指しました。生徒との距離感に悩むこともありますが、生徒たちから親しまれています。最終的にあさひと結ばれます。

神崎あさひ（かんざきあさひ）
若葉羽中学校の2年生で、水泳部に所属。佐倉木との出会いは最悪でしたが、彼の優しさに触れるうちに惹かれていきます。恋に一途で、佐倉木への想いをストレートに表現しますが、空回りすることも。最終的に佐倉木と結ばれます。

袖浦七海（そでうらななみ）
若葉羽中学校の2年生。あさひの親友で、眼鏡をかけた年上の男性が好み。冷静な視点であさひをからかいながらも、温かく見守っています。

花香谷奏（はながやかなで）
若葉羽中学校の2年生。独特な言動が多い変わり者の女の子。運動神経が良く、佐倉木に懐いています。性に対する羞恥心がなく、周囲を戸惑わせることもありますが、根は真面目です。将来は産科の看護師を目指しています。

瑞沢遥（みずさわはるか）
生徒会副会長（後に会長）。おしとやかな美少女で、成績優秀、スタイル抜群のお嬢様。完璧主義者ですが、緊張すると尿意を催してしまうという弱点も。佐倉木に好意を抱き、アプローチを続けますが、報われません。大学生にして起業家として活躍しています。

クリスティーナ・メリカント
フィンランドからの留学生。愛称はクリス。佐倉木に一目惚れし、積極的にアプローチします。本国での進んだ性教育を受けているため、性に関する知識は豊富。佐倉木とあさひの関係を深めるきっかけを作ります。帰国後は、日本のサブカルチャーを海外に紹介する活動をしています。

教師

椎名
2年B組の担任。美人でスタイルも良いが、恋愛経験は皆無。当初は男性が養護教諭を務めることに不安を感じていましたが、佐倉木の真摯な姿勢に感銘を受け、次第に彼を異性として意識するようになります。

校長
私立若葉羽中学校の校長。穏やかで品の良い初老の女性。

山辺幸弘（やまべゆきひろ）
椎名に好意を抱いている男性教諭。夏休み前に椎名に告白し、想いを受け入れられます。

学生

生実野桃香（おゆみのももか）
あさひのクラスメイトで、保健委員を務める。胸が大きいことが悩み。将来は海外で修行するパティシエを目指しています。

湿津ちとせ（うるつちとせ）、湿津ちくら（うるつちくら）
双子の女の子で、水泳部所属。ちとせの方が先に初潮を迎えています。

豊住さつき（とよすみさつき）
園芸部所属の3年生。自慰行為がやめられないことに罪悪感と焦りを感じていたが、佐倉木への相談で落ち着きを取り戻す。卒業。
八街睦美（やちまたむつみ）
テニス部所属の2年生。理想のモデルに近づくため無理なダイエットをしていた。幼馴染の男子生徒に津宮がいて何かと気にかけられている。高校卒業後に津宮と結婚。

香西莉奈（かさいりな）
2年B組の女子生徒。長柄とは幼馴染。文化祭で演劇「ロミオとジュリエット」をやることになった折、長柄とつきあうようになる。エピローグでは長柄と別れている。

長柄秋人（ながらあきと）
2年B組の男子生徒。香西とは幼馴染。文化祭で演劇「ロミオとジュリエット」のロミオ役に強引に選ばれ香西とつきあうようになる。エピローグでは香西と別れている。

花香谷涼（はながやりょう）
奏の弟。シスコン気味で、姉の奏にそれを実践しようと迫られたときに求めに応じようと近親相姦に及びかけたが、佐倉木達に見つかって諭された際に奏への想いを皆の前で吐露した。

西岬湊（にしざきみなと）
クラスは3年B組。長柄の知り合いの先輩で船橋とは幼馴染。性格は軽いが異性とのつきあいはなく処女であると明言している。卒業。
船橋健太郎（ふなばしけんたろう）
生徒会会長の3年生。女子にモテ性格も軽いが、既に好きな娘がいるらしい（その際、瑞沢を意識していることを示唆する描写がある）。卒業。

大佐和（おおさわ）
あさひのクラスメイト。同性愛者で男全般は生理的に嫌っているが同性愛者であることは世間体からひた隠しにしていた。生実野に好意を持っている。

その他

神崎ひなた（かんざきひなた）
あさひの母で、若葉羽中学校の元養護教諭。佐倉木の憧れの人でした。

神崎ゆうひ（かんざきゆうひ）
あさひの妹。4巻ラストにて若葉羽中学校に入学。

総野
佐倉木の大学時代の先輩であり、初めての相手。後に佐倉木にあさひに対する想いがあることを確認して身を引いた。

作品の舞台

物語の主な舞台となるのは、主人公の佐倉木が養護教諭として赴任した私立若葉羽中学校です。この学校は、全校生徒数約360名の共学校で、個性を重んじる自由な校風が特徴です。東京都内の学校で、緑を多く残す郊外の住宅地に位置しています。

書誌情報

『ほけんのせんせい』は、ワニブックスの《ガムコミックスプラス》から全8巻が発売されています。

まとめ

『ほけんのせんせい』は、思春期の少年少女たちが抱える性の悩みを、ユーモラスかつ真摯に描いた作品です。性教育の要素だけでなく、登場人物たちの人間関係や恋愛模様も描かれており、読者を引き込む魅力に溢れています。

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