ぼくがつくった愛のうた (アルバム)

アルバム『ぼくがつくった愛のうた』の紹介

チューリップの通算4枚目のアルバム『ぼくがつくった愛のうた』は、1974年10月5日にリリースされました。この作品は、前作に引き続きビートルズへの尊敬を色濃く反映した内容となっています。また、本アルバムの一部楽曲は、イギリスのEMIレコーディング・スタジオやスコーピオ・スタジオで録音されました。このことは、チューリップがデビュー以来続けてきたビートルズへのオマージュの到達点とも捉えることができます。

アルバムジャケットのデザインはとてもユニークで、表面には煉瓦の壁とその上に描かれた落書きがあり、チューリップのロゴのみが浮かび上がっています。タイトルは記載されていませんが、裏面には上半身裸のメンバー5人の写真とアルバムタイトル、クレジットが記載されています。また、レコードには特典として30ページに及ぶブックレットが同封されており、物語の舞台は2111年で、メンバーの子供たちが中心に登場します。この物語は収録曲に合わせて進行する形式となっています。レコードの帯には「念願のトータル・アルバムを完成!!」という宣伝文句が印刷されています。

このアルバムの録音にあたっては、日本航空の協力も得ており、ブックレットには日本航空のロゴとともにその協力内容が記されています。

収録曲の紹介

SIDE ONE

1. ひとつの星
作詞・作曲：財津和夫
ボーカル：財津和夫
この曲は全編英語の歌詞で構成され、アルバムの序曲的な存在として位置づけられています。短くも印象的な53秒の楽曲です。

2. 私のアイドル
同日にリリースされたシングル『ぼくがつくった愛のうた（いとしのEmily）』のカップリングとしても知られています。録音はロンドンで行われており、財津和夫の自己表現が色濃く反映されています。

3. なくした言葉
初春にはシングル『サボテンの花』のカップリングとしてもリリースされ、ストリングスのアレンジが特徴的なバラードです。姫野達也のボーカルが心を打ちます。

4. この暗闇の中
サイケデリックな色彩が感じられる、吉田彰が歌う楽曲です。

5. ここはどこ
メンバー間でのコーラスの担当が変わりつつ演奏されるアレンジが魅力。音楽的にはモンキーズの影響を見受けられます。

6. 踊り娘
サイケデリックな雰囲気を持つビートルズを思わせる楽曲です。

7. 仔牛のロー・カウジー
ファンタジー性のあるおとぎ話調の曲で、ライブではメンバーが交替でボーカルを担当します。

SIDE TWO

1. アンクル・スパゲティー（三文歌手）
ロンドンで録音されたこの曲では、財津がボーカルを担当しています。

2. 走れ！ムーン号
上田雅利のデビュー作で、ロックナンバーとして知られる同曲は再結成後も評価が高いです。

3. ぼくがつくった愛のうた（いとしのEmily）
同時リリースされたシングルと同テイクです。ライブでのエピソードも話題です。

4. Mr.プレスマン
財津によるクリエイティブなアプローチが伺えます。

5. 歌は生きている
この楽曲は、『私のアイドル』の別バージョンとして位置付けられ、エンディングにはマーチングバンドの音楽が特徴です。

6. 世界の果てで
ストリングスとハミングが印象的な曲で、アルバムの締めくくりに相応しい作品です。

制作とクレジット

すべての曲はチューリップにより書かれ、アレンジされ、録音されています。制作は日田和永が担当し、録音はロンドンの名スタジオで行われました。特に、オーケストラのアレンジは青木望が手掛けています。

『ぼくがつくった愛のうた』は、チューリップの音楽的成長を感じさせるアルバムであり、そのメッセージやサウンドは今も多くのリスナーに愛されています。

もう一度検索