またたび浴びたタマ

『またたび浴びたタマ』

『またたび浴びたタマ』は、村上春樹による回文の本であり、友沢ミミヨの独特なイラストによって装飾されています。この特異な作品は、2000年8月30日に文藝春秋から出版されました。装丁は大久保明子が手がけ、視覚的にも楽しませる要素が盛り込まれています。

村上春樹は、作品の創作過程について、「二〇〇〇年のお正月にそれ（回文を作ること）以外に何をしたのか、今となってはぜんぜん思い出せない」と述べています。これは、彼がどれほどこの創作活動に没頭していたかを物語っており、作品に対する熱意や情熱が感じられます。

内容紹介

本書には、全45の回文が収められています。これらは「a」から「わ」までの44の文字に基づいて作られており、唯一「よ」だけが2つ存在するため、合計で45の回文が登場します。そのいずれにも、友沢の可愛らしいイラストが添えられており、まるでかるたのように楽しむことができます。また、村上による短い小話やエッセイも特徴的で、回文それぞれに色を添えています。

回文の代表的なものとしては、「浦和で蒔いた、ははは、と母は大麻で笑う」という作品や、「トナカイ好きな鱚、いか納豆」といったユニークな表現が挙げられます。これらの言葉遊びは、思わず笑みを誘うようなユーモアに満ちており、読む人の想像力をかき立てます。さらには、「裸体が渋い武士がいたら」という回文のように、深遠なテーマを投げかけるものもあり、シンプルな言葉の中に多様な解釈をもたらす可能性を秘めています。

作品の魅力

回文という特異な文学ジャンルを村上春樹がどのように解釈し、表現したのかを知ることができる本書は、文学愛好家だけでなく、子供から大人まで幅広い読者層に楽しんでもらえる内容となっています。村上春樹の遊び心あふれる文章と、友沢ミミヨの視覚的なアプローチが見事に融合し、新たな読書体験を提供していることがこの本の大きな魅力です。

関連項目

本書はまたたびと呼ばれる猫のおもちゃの名でも知られる一方で、村上春樹の他の作品、「村上かるた」や「うさぎおいしーフランス人」などと同様に、彼特有のスタイルが随所に反映されています。回文という形式の独自性や、言葉遊びの楽しさを通じて、村上春樹は新たな文学世界を築いているのです。

もう一度検索