まち・ひと・しごと創生法

まち・ひと・しごと創生法

「まち・ひと・しごと創生法」は、急速に進む我が国の人口減少に歯止めをかけ、活力ある地域社会を構築することを目指し、「地方創生」を強力に推進するために制定された日本の法律です。

法律の概要と目的

正式名称は「まち・ひと・しごと創生法」といい、平成26年11月28日に法律第136号として公布・施行されました。

この法律が制定された背景には、少子高齢化に伴う人口減少と、それに伴う地方の活力低下、そして東京圏への人口の一極集中という深刻な課題があります。これらの課題を克服し、全国どこでも、誰もが夢や希望を持って安心して暮らせる地域社会を実現することを目的としています。

本法では、「地方創生」を推進するための基本理念を定めるとともに、国や地方公共団体が講ずべき施策の基本となる事項を規定しています。具体的には、国が策定する「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、様々な取り組みを進めるための枠組みを提供しています。

「まち・ひと・しごと」の一体的推進

この法律の名称が示す通り、「まち」「ひと」「しごと」の三つの要素を相互に関連付け、一体的に推進することが地方創生の鍵であると位置づけられています。

まち: 国民一人ひとりが将来への希望を持ち、潤いと豊かさを感じながら、安心して生活を営むことができるような地域社会を形成することを目指します。地域住民が主体となった取り組みや、地域の特性を活かしたまちづくりを支援します。

ひと: 地域社会の担い手となる、多様な個性と能力を持つ人材を確保し、育成することが重要視されています。若者や女性の活躍促進、移住・定住の促進など、地域を支える「ひと」を増やすための施策を展開します。

しごと: 地域において、魅力があり、多様な働き方ができる就業機会を生み出すことを目指します。地域の産業を振興し、起業を支援し、新たな雇用を創出することで、地域経済の活性化を図ります。

これらの「まち」「ひと」「しごと」が好循環を生み出し、それぞれの地域が持つ潜在力を最大限に引き出すことが、地方創生の究極的な目標です。

法律の構成

「まち・ひと・しごと創生法」は、以下の章立てで構成されています。

第1章 総則（第1条―第7条）: 法律の目的、基本理念、国の責務、地方公共団体の努力義務などが定められています。
第2章 まち・ひと・しごと創生総合戦略（第8条）: 国が策定する地方創生に関する総合的な計画（総合戦略）について規定しています。
第3章 都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略及び市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略（第9条・第10条）: 都道府県及び市町村が策定する地方版の総合戦略について規定しています。
第4章 まち・ひと・しごと創生本部（第11条―第20条）: 地方創生に関する施策を政府一体となって推進するための組織である「まち・ひと・しごと創生本部」の設置、組織、事務などについて定めています。
附則: 法律の施行に関わる経過措置などが含まれます。

この法律は、単に経済対策としてだけでなく、社会全体の構造的な課題に対応するための長期的な視点に立った政策の根幹をなすものです。この法律に基づき、国と地方公共団体が連携・協力し、多様な関係者の参画を得ながら、それぞれの地域が持つ魅力を最大限に引き出し、持続可能な社会を築いていくことが期待されています。

もう一度検索