まっ黒なおべんとう

まっ黒なおべんとう

『まっ黒なおべんとう』は、児玉辰春による絵本作品で、後にアニメーション映画化もされました。この作品は、広島原爆をテーマに、何の変哲もない弁当を通して原爆の悲惨さを伝えています。

あらすじ

物語は、1945年8月6日の広島を舞台に展開されます。主人公は、広島県の農村部に住む13歳の少年、折免滋。彼は歯科医を目指しており、その日は自宅の畑で採れた米、麦、大豆を使った炊き込みご飯と、大根とジャガイモの油炒めを弁当に詰めてもらいました。質素ながらも、滋は自家製の恵みに喜びを感じていました。

しかし、その日の午前8時15分、滋は爆心地からわずか600mの場所で被爆します。彼は弁当箱と水筒を抱えたまま、強烈な熱線に晒され、弁当の中身は炭のように真っ黒に焼け焦げてしまいました。変わり果てた滋の亡骸を前に、母・シゲ子は、弁当すら食べさせてあげられなかった息子の死を深く悲しみます。

アニメ映画

この絵本は、1990年にはアニメーション映画化もされています。監督は出崎哲が務めました。映画では、絵本の内容を忠実に再現しつつ、アニメーションならではの表現で原爆の悲惨さをより強く訴えかけています。

キャスト

折免きみえ - 坂本真綾
ナレーション - 富山敬

スタッフ

監督：出崎哲
原作：児玉辰春
脚本：今泉俊昭
作画監督：小林ゆかり
音楽：中島優貴
上映時間：49分



『まっ黒なおべんとう』は、一見すると普通の弁当が、原爆によって無残な姿に変えられてしまうという痛ましい描写を通して、戦争の残酷さ、平和の尊さを深く考えさせる作品です。

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