まつかぜ (列車)

国鉄特急「まつかぜ」と「やくも」：山陰地方と京阪神を結んだ列車たち

本稿では、かつて国鉄が運行していた特急列車「まつかぜ」と「やくも」について、その歴史と運行概要を詳細に解説します。両列車は山陰地方と京阪神を結ぶ重要な役割を担い、多くの乗客に利用されていましたが、時代の変遷とともにその姿を消しました。

特急「まつかぜ」：松林の風を運んだ列車

「まつかぜ」は、1961年10月、京都駅と松江駅間を結ぶ特急列車として運行を開始しました。当初は東海道本線、福知山線、山陰本線経由で運行され、京都と福知山間は東海道本線と福知山線を経由するという経路でした。その後、1964年には運行区間が京都駅と博多駅間に延長され、利用客増加に伴い、車両も増結されました。しかし、1972年3月の山陽新幹線岡山駅開業を機に、「やくも」の一部列車が伯備線経由に変更されたことや、同年10月の特急「あさしお」運行開始により、「まつかぜ」は大阪駅または新大阪駅発着に統一されました。

1985年3月のダイヤ改正では、博多駅への乗り入れが廃止され、米子駅発着に変更。同時に、米子駅と博多駅間は新たに運行開始された「いそかぜ」に系統分割されました。そして、1986年11月、福知山線の全線電化を機に、「まつかぜ」は「北近畿」（現在の「こうのとり」）に統合され、その歴史に幕を閉じました。列車名は、松林に吹く風をイメージして名付けられました。

特急「やくも」：八雲立つ、山陰への快速

「やくも」は、東海道新幹線と山陰地方を結ぶ連絡列車として、1965年11月、新大阪駅と浜田駅間で運行を開始しました。新大阪駅12時発というビジネスマンや観光客に便利なダイヤ設定が功を奏し、特に週末は特急券の入手が困難になるほどの人気ぶりでした。そのため、運行開始後も車両は順次増結され、食堂車やグリーン車も連結されました。

しかし、山陽新幹線岡山駅開業により、山陰本線米子駅以西と京阪神間の新幹線連絡は伯備線経由の優等列車に移行。1972年、鳥取駅以西の運行区間が廃止され、「まつかぜ」に統合されました。「やくも」の列車名は、島根県東部の令制国である出雲にかかる枕詞「八雲立つ」に由来しています。

時代の流れと列車の変遷

「まつかぜ」と「やくも」は、それぞれの運行開始から廃止まで、数々のダイヤ改正や車両増結、運行区間の変更などを経てきました。山陽新幹線開業は、両列車の運行形態に大きな影響を与えた出来事と言えるでしょう。また、福知山線の電化も、両列車の統合や廃止に繋がる重要な要素でした。

両列車の運行終了後も、山陰地方と京阪神を結ぶ新たな特急列車が運行されていますが、「まつかぜ」と「やくも」は、日本の鉄道史に名を残す重要な列車として記憶されています。その歴史は、日本の高度経済成長期からバブル経済崩壊までの時代の変遷を象徴していると言えるでしょう。

停車駅と編成

「まつかぜ」と「やくも」の停車駅や編成は、運行開始から廃止まで何度も変更されました。特に「まつかぜ」は、運行区間の変更やダイヤ改正によって、停車駅が大きく変化しています。また、「やくも」も、山陽新幹線開業による運行区間の変更によって、停車駅が減少し、最終的には「まつかぜ」に統合されました。両列車の停車駅と編成の情報は、当時の時刻表や資料などを参照することで、より詳細な情報を得ることが可能です。

まとめ

「まつかぜ」と「やくも」は、それぞれの個性と歴史を持ちながら、山陰地方と京阪神を結ぶ重要な役割を担っていました。これらの列車は、単なる交通手段ではなく、時代の変化や人々の生活を反映する存在でもありました。両列車の歴史を振り返ることで、日本の鉄道史の一端を知ることができるでしょう。

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