まわり道 (映画)

映画『まわり道』について

1975年に公開された『まわり道』（原題: Falsche Bewegung）は、ドイツの映画監督ヴィム・ヴェンダースによる作品であり、彼の代表作の一つです。この映画は、彼のロートムービー三部作の二作目で、主人公である若き作家志望の青年が旅を通じて自分自身と向き合い、その過程で出会うさまざまな人々との関係を描いたものです。

物語の概要

物語は、主人公ヴィルヘルムがスランプに陥りながらも自らの作家としての道を模索する姿を中心に進行します。彼は、旅を通じて様々な人物と出会い、彼らとの交流の中で自身のアイデンティティや人生の意味について考えさせられます。これらの出会いは、彼にとって自己発見の旅でもあり、彼の成長への道のりを彩る重要な要素となっています。

登場人物には、ヴィルヘルムの周囲に集まるさまざまなキャラクターが描かれています。女優のテレーゼはヴィルヘルムに好意を寄せ、その気持ちが物語にさらなる複雑さを加えます。また、過去の負の遺産を抱えた老人ラエルテスは、孫娘ミニョンの助けを借りて生きていることが象徴的です。口をきけない大道芸の少女ミニョンは、無邪気でありながらも、独特の知恵を持つ人物として、物語に新たな視点を提供します。さらに、詩を愛する青年ランダウが登場し、ヴィルヘルムとの友情が芽生えます。

影響と背景

本作は、ドイツ文学の巨星ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』を基にしており、登場人物の名も彼の作品から取られています。作中の登場人物たちは、各々の人生や葛藤を抱えており、これがヴィルヘルムの内部の葛藤と対比を成し、彼が自己を見つめ直す助けとなります。映画全体を通して、ヴェンダースは人々との関わりを通じて得られるものの重要性を強調しているのです。

映画の公開と評価

『まわり道』は日本においても注目され、2021年11月から「ヴィム・ヴェンダース レトロスペクティブ」として劇場公開されました。多くの観客がこの作品を通じて、主人公の旅と彼の行動が引き起こす内面的な探求に共鳴し、感動を呼び起こしています。

主要スタッフとキャスト

この作品を手がけたのは、監督のヴェンダースに加え、製作のペーター・ジュネーとベルント・アイヒンガー、脚本のペーター・ハントケ、撮影のロビー・ミューラーなど、豪華なスタッフが揃っています。また、キャストにはリュディガー・フォーグラー、ハンナ・シグラ、ハンス・クリスチャン・ブレヒ、ナスターシャ・キンスキー、リザ・クロイツァーなどが名を連ねており、ナスターシャ・キンスキーは本作でのヌードシーンが話題となりました。

まとめ

『まわり道』は、人生の意味や自己を探求する旅を描いた珠玉の作品です。作品内での人物たちとの出会いを通じて、主人公が成長し、新たな視点を得る姿を見守ることで、観客もまた自らの人生について考えさせられるでしょう。

もう一度検索